「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【直前インフォメーション】J2‐10[A] ザスパクサツ群馬戦のポイント with『Gマガ』(2016/04/29)

■どこに一発があるの?

――冨樫さん、言ってたんだよ。「群馬には一発があるから要注意だ」って。でも、おれには調べてもわからなかった。どこに一発あるの? そもそも一発あったら、そこまで負けないんじゃないの?
「裏を返せば、一発しかないという話かもしれない」

――そんな皮肉を言う余裕はさすがにないと思う。以前、ヴェルディにいた常盤聡選手のことかな? って一瞬想像したんだけど、どうかしら?
「常盤は……スタメンではない可能性がある。まだわからないけどね」

――そうなんだ。身体能力が高く、難しいシュートが得意な人だから、まさに一発がありそうな気がして怖かった。前節はスタメンだったし。まさか、ほかに秘密兵器みたいな選手がいたりして。
「ブラジル人のボカという選手がいて、彼が先発で起用されそうな気配」

――ブラジル人なのに、ボカ?
「そう、アルゼンチン人じゃない」

――なんか、めんどくせえな。スピード系?
「足はめっちゃ遅い。身体はプロレスラーみたいな人。なかなかコンディションが整わなくて、最近になってようやく途中から使われ始めた。ただ、まだシュートを見た記憶がない。ブラジル人はほかにマテウス、チアゴといて、それぞれ前評判は高かったんだよ。YouTubeでは好プレーを連発してた」

――ありがちですね。
「けがやら調整不足やらで戦列に加われないなか、唯一ボカだけは試合で使える選手。やっと態勢が整ってきた」

――そういうの、かえって怖いよ。ろくすっぽシュートを打ってないなんて恐怖でしかない。ヴェルディは伝統的に初物に弱いんだ。
「もしや服部さんはそこまで計算していたか」

――この試合に照準を合わせてきた?
「だとしたらとんでもない策士だね。群馬の選手たちは、口をそろえて中後雅喜選手のことを気にしてた。リズムを変えられる選手で、自由にプレーさせてはいけないと」

――正解。もしおれが敵の立場だったらあそこを潰す。今回、ヴェルディは大幅にメンバーチェンジなんだ。本来、攻撃的なポジションの中野雅臣を左サイドバックで起用するのは、かなりのギャンブル。冨樫さんは勝負に出てるよ。それくらい大胆な手を打たなければ、変えられそうにない閉塞感がある。
「おれのなかでは、試合のイメージがほぼ完璧に浮かんでいる」

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