デイリーホーリーホック

【HHレポート】[HOLY SPONSORS]第14回・内科石川医院「偉大な地元Jクラブを支援し続けていきたい」(2013/7/16) ※全文無料公開

水戸ホーリーホックを支えてくれるスポンサーさんにお話を聞く企画「HOLY SPONSORS」。第14回目にレポートさせていただいたのは、サポートシップスポンサー、株主、支援持株会員として様々な支援していただいている「内科石川医院」です。どのような思いを抱いて水戸の支援を続けているのか、石川至院長にその経緯や今後の水戸へ期待すること等をインタビューした模様をお伝えします。

サポートシップスポンサー
内科石川医院 院長 石川至さん

発足直後、強豪相手に劇的勝利した水戸に驚嘆


子供の頃からサッカーが好きで、大学時代もずっとプレーしていました。
元々地元のチームは応援したいと思っていましたので、鹿島アントラーズも茨城のチームだから応援していました。
平塚の病院に勤務していた頃は当時のベルマーレ平塚、今の湘南ベルマーレ、東京に住んでいた頃は、横浜F・マリノスを応援していましたよ。

水戸ホーリーホックを知ったのは、平成6年。
その頃、私はまだ平塚にいまして、父から「Jリーグを目指すチームが水戸に出来たよ」と聞いて、新聞の切り抜きを送って貰ったのです。
「どんなチームなのかな?」と思っていたら、その年の天皇杯で駒沢大学と対戦したんですよ。その当時の駒沢大学は大学サッカー界では敵なしと言われるぐらい強くて、水戸はプリマハムから名前が変わって出来たばかりのチーム。
ちょうどNHKで中継があって、偶然観ていたら、逆転勝ちをしたのです。水戸から退場者も出たのですが、浦島(光雄)君がいたりして、4-3だったかな?「やる~!」と驚きました。

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【写真 米村優子】

昨年まで11年間、医務室のドクターも担当

水戸に戻ってきた平成11年の頃、ホーリーホックはまだJFL所属でした。
ホームゲームは改修前の旧笠松運動公園陸上競技場だったので、「お客さん、多いな」と感じ、アナウンスで「観客数は700人」と流れると、「今日は多かった!」と驚く程でした、以前はそれくらい観客が少なかったんです。
最近はなかなか仕事で行けませんが、アウェイにもよく医師仲間と応援に行きましたよ。
一昨年の柏戦、今年のガンバ戦も1万人超の観客が詰めかけ、「こんなに増えたんだ」と本当に感激ですよね。

水戸に帰郷してすぐ、当時大工町にあった事務所で石山社長に「スポンサーになりたい」とお話して、翌年に社長からの打診で株主にもなりました。
今は、サポートシップスポンサー、株主、そして、支援持株会もホーリーホックの危機の時に初代理事長の助川先生が作ってくださって、協力したくてこちらにも入りました。
平成13年頃から昨年まで水戸のホームゲームの医務室のドクターも担当していましたよ。興奮して気分が悪くなった女性、前座試合で鼻血を出した子とか、そういう人達を診ていました。今年から次の代の新しい先生達にバトンタッチ出来て良かったです。

人口26万の水戸市にある偉大なJクラブに

ホーリーホックのスタジアム観戦を通じて、法律関係、不動産関係、証券関係、飲食店など様々な業種のスポンサー、サポーターの方々と楽しく交流させて貰っています。色々と教えられたり、助けられたりする事も多く、勉強にもなります。

一昔前は水戸の街中もアントラーズのマグネットステッカーを貼っている車ばかりでした。当時は水戸グッズもほとんどなかった。今は両方貼っている車も多いですよね。ああいう人はサッカーが好きなのでしょうね。すごく良いと思います。同じ県内にある訳だから、両方応援してくれていいのですよ。私達もプレシーズンマッチでアントラーズさんにやって貰えるようになったので、選手達は良い機会を作って貰えている。すごく感謝しています。
日韓W杯の時にコスタリカとの親善試合を笠松運動公園で出来た事も素晴らしかった。

出来るだけの事は水戸ホーリーホックにしていきたい。地元にサッカーチームがあるとないでは違いますから。
だって、人口26万の水戸市にJリーグチームがあるなんて、とても偉大なことなのですよ。
水戸より大きな石川県の金沢市だって、まだJFLのチームしかないのですから。

存続危機を救ってくれた岐阜のサッカー関係者に感謝

平成13年、15年の時にクラブの経営危機があって、本当に大変でしたけれども、サポーターの方々がとても偉いと思いました。
15年の時、天皇杯で岐阜工業と対戦しました。当時まだFC岐阜がまだない時代でした。アウェイ戦でしたが、サポーターの方々がたくさん来ていらして、存続のための署名活動をしていたのです。
岐阜県サッカー協会、西濃運輸、地域のサッカー関係者、各高校サッカー部の方々とか、ものすごい数が集まりました。
あれは感激でしたね。岐阜の地域のサッカー関係者にはすごく今でも感謝しています。

選手・監督が交代してもチームは残る

今年、冨田大介君が戻って来ましたが、昨年は塩谷司、今年はロメロ・フランクが出て行きましたが、それは仕方がない。
選手が色々グレードアップしていく中でも、チームだけは残る。選手はもちろんですが、チームを何としてでも支えなければと思っています。
チームがないことには選手も来られませんからね。

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【写真 米村優子】

水戸の礎を築いたOB選手達

仲良かった選手がいなくなったりすると寂しい。
「選手はみんな生活があるのだから仕方ない」と思いながらも、送り出すのが辛い事もありました。
だからユースコーチの北川佳男君は昨年から戻って来てくれたのですが、とても嬉しい。
監督の樹森(大介)君は、指導者としてもとても優秀ですね。
最近だと、ブログなんかでもしっかりとした文章を書いて、「こんな頭の良い選手がいるのか」、「こんな若くて大人な考えをするのか」と驚いたのが、今年ガイナーレ鳥取に行った岡本達也君。彼はサッカーの識字率が高い貴重な選手でした。
彼はすごく優秀な指導者にもなれると思います。彼は印象深い選手でした。
元水戸選手で監督も務めた木山君、ヘッドコーチをしていた木澤君、練習を観ていても、若い選手に対してかける一言、二言が素晴らしかった。
浦和レッズの下部組織の指導者の池田(伸康)君は、帝京高校から早稲田大学へ行って、バルセロナ五輪予選代表の選手。大学サッカー界のエースが水戸に来るなんて思わなかったですね。
代(健司)君も(金久保)彩君も今、試合に出ているし、坂井洋平君もベンチに入っているし、嬉しいなと思いますよね。
群馬の遠藤(敬佑)、保崎(淳)、栃木の大和田(真史)、菊岡(拓朗)、ヴェルディにいる常盤(聡)、小池(純輝)など、全部気になるから「出場しているかな?」とチェックしていますよ。
「他のチームとやる時に点を取って、うちとやる時は勘弁してね!」と思いながら観ています(笑)。菊岡君には散々やられましたからね(笑)。
そして、アマチュアに近いようなセミプロ時代、厳しい環境の中でバイトしながら一生懸命練習をしていた選手達。みんな、覚えていますよ。
ガソリンスタンド、ホテル等でアルバイトしながら練習に励み、ものすごく苦労していた。辛かっただろうな、あの頃のみんなは今どうしているのだろうかと時々思いますよ。
でもOB戦の時に出て来ると、「元気でやっているんだ」と嬉しさと懐かしさが込み上げて来ますよね。
彼らが頑張ってくれていたから、繋がりがあるから、今もJリーグにいられるのだなと思いますよ。

闘莉王選手は水戸の誇り

現在、名古屋にいる(田中・マルクス)闘莉王のインパクトはすごかったですね。
彼が広島から来る時に、「えっ!?何で水戸に来るの?」と驚きましたもの。広島時代の彼の得点シーンをテレビで観ていたのですが、「良い選手だな~」と溜息をつく程でしたから。
水戸時代も子供の中に大人が入ってサッカーしているような感じでしたね。気性についてよく指摘されますが、彼はすごくサッカーが解っている。練習を観ていても飲み込みが早い。全然違いますよ。人間的にもしっかりした立派な男です。
だって日本語もよく喋れない時に地球の反対側から日本に来て、僕らが経験出来ないような並大抵でない苦労をした。私もドイツに一年いた経験がありますけれど、旅行で行くのと住むのとでは全く違う。これだけの実績を生み出した彼は水戸の歴代の選手の中で一番偉大なのではないかと思います。水戸にとっては彼がいてくれた事は誇りですよね。彼には何一つ文句が言えないですよ。もう一回、サムライブルーに入ってくれないかなと思いますけれどもね。
そして、将来引退して指導者になった時、水戸を率いてくれないかなって淡い期待を持っています。でもあれだけの実績を残したら、J1のクラブへ行っちゃうのかな。

貪欲にチャンスを拾ってレベルアップして欲しい

「ロメロ(フランク)と(塩谷)司が抜けて厳しいかな?」と思ったけれども、今年のチームも良くやっていると思います。
塩谷も礼儀正しい子でしたね。彼、徳島商業の卒業生なんですね。試合前にカターレ富山の黒部(光昭)に「僕、徳島商業の後輩です」って挨拶していましたね。水戸と富山両方の選手達がその様子を見て、ゲラゲラ笑っていて面白かったですけれども。
セレッソ大阪がJ2に落ちてきた時、それまでのレギュラー選手がいなくなったんですね。だから香川(真司)とか乾(貴士)がのびのびとやれたんですよ。
誰かが抜けたら抜けたで、残った選手で補充しますし、みんなに等しくチャンスがある。
この前も鈴木隆行と橋本晃司が2試合出場停止になりましたが、ベンチの選手にはチャンスです。特に三島(康平)君、鈴木雄斗君、二瓶翼君。翼君は本当にあのドリブルは魅力ですよね。与えられた環境の中で、チャンスを貪欲に拾ってレベルアップして欲しいなと思いますよ。
みんなにサムライブルーのチャンスは等しくあるのだから。
ただ6位以内に入るには、もうちょっと足りないのかなと思いますけれどもね。
無い物ねだりしても仕方がないので、今のチームで頑張って貰いたいです。
私達だって、限られた設備の中で、患者に出来るだけの事をしようと最大限の努力をしていますからね。

水戸ホーリーホックも色々ありましたが、沼田社長はよくやってくれていると思います。
柱谷哲二監督も就任3年で最後の年だから、次を見据えてやって頂きたいと思います。
チームを残すためにも、また良い監督を探して貰いたいと思います。
スタジアムのスタンドでは柱谷監督に延長して貰いたいという声は多いです。私も哲さんが残ってくれたら嬉しいなと思いますけれどもね。ただ、哲さんの将来へのビジョンもあるでしょうし、哲さん次第なのでしょうね。
哲さんも日本代表監督の候補者の一人でしょうから、将来はサムライブルーを引っ張っていって貰いたいなと思います。
そして、その時に闘莉王が選手かスタッフで入ればいいなと思います。

J1昇格、観客動員UP、地域の子供達や女子サッカー選手への取り組みに期待

これだけ観客動員が増えたという事は、水戸市民が支えてくれているんですよね。
うちに来る患者さんの中で、80歳ぐらいの方でも「先生、チームどうですか?」とか聞いてきたりする。ちょっとだけでも関心を持って貰えるだけでもいいんです。
院内に水戸ホーリーホックの旗を貼ったり、ホーリーくんの人形を置いたりしている効果もあるのかなと思いますよ(笑)。
茨城はどうしても野球の人気があります。高校野球と高校サッカーの人気は比較にならないですしね。今でも日本ではサッカーが野球の人気を追い越せると思いませんけれど、でも少しでも追い付きたいと思いますよ。
そのためにもみんなにホーリーホックを知って貰わないとね。

水戸ホーリーホックには、今まで通り、地域に貢献して、特に地域の子供達にサッカーを普及させて欲しい。そして、6位までに入ってJ1を目指して欲しい。
経営が少しでも良くなるように、こちらも努力しますが、特に入場料収入が増えるような営業努力をクラブに頑張って頂きたい。
各小学校、女子サッカーへの働き掛けも重要だと思います。少年・少女世代にサッカーを教えたりするとレベルもアップするし、そういう子達が地元で成長して、次の世代に繋がっていく。長い目で見ていくことが大事だと思います。

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内科石川医院
診療科目は内科。物忘れ相談医、在宅診療など幅広く地域医療に携わっている。
水戸市緑町1-8-21
Tel. 029-233-2236

(米村優子)

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