歌声は響いた……J1最終節・鹿島戦(A) マッチレビュー
▼2023明治安田生命J1リーグ 第34節
12月3日(日) 14:03キックオフ/県立カシマサッカースタジアム(20,336人)
鹿島アントラーズ 2-1 横浜FC(Jリーグ公式サイト)
【得点】
18′ 鹿島/鈴木優磨
41′ 鹿島/松村優太
63′ 横浜FC/カプリーニ
キックオフから約40分前、選手たちがウォーミングアップのためピッチに姿を現そうとしたとき、カシマスタジアムの一角を青く染めた横浜FCサポーターからチャントが鳴り響いた。
「決めろゴールをヨコハマ、それだけがプロのしるし」
通常は大量得点でリードしている場面で歌われるこのチャントが、試合前のこのタイミングで歌われた意味は一つしかない。残留の可能性は1%もないかもしれないが、とにかく多くのゴールを決めて勝つしか道は残されていない状況だ。実際に残留できるかどうかは二の次として、とにかく最後まで諦めずに全力を尽くせ、プロとしての意地とプライドを見せろ──。
「その熱は届いていました」と、横浜FCユース出身で誰よりも三ツ沢でこのチャントを聞いてきた橋本健人は気持ちを奮い立たせていた。
【選手交代】(横浜FCのみ)
60′ 林→近藤、慶治朗→伊藤翔
82′ 潮音→三田、山根→坂本
87′ 吉野→橋本
▼攻撃的布陣を敷くも……
チームももちろんそのつもりだった。吉野恭平が前節・湘南戦での負傷でメンバーを外れたほかは、出場停止のユーリ・ララの代役には攻撃的なボランチの三田啓貴、左右のウイングバックに近藤友喜と橋本健人、さらに左シャドーは押し込んだ展開で小川慶治朗よりも崩す仕事を期待できる坂本亘基を、指揮官はチョイスした。
ただ、キックオフと同時に鹿島に勢いよく襲いかかった、というほどに攻撃的ではなかった。「前からプレッシャーをかけようという話もあったけど、そこで大きく崩れてしまっては意味がないので。最初の入りはいつも通り、1点取ってからスイッチをかけようという意図があった」と井上潮音は明かす。
攻撃的な選手を並べながら最初からアクセルを全開にできなかったところが、リーグ最少得点かつ失点数ワースト3位に終わった今季の悲しさを象徴しているようにも思える。しかもコイントスの結果、横浜FCは攻撃方向を入れ替えることを選び、キックオフは鹿島。開始14秒で、ロングボールからセカンドを拾われて自軍サポーター席に向かって攻める鹿島にファーストシュートを浴びた。
そのミドルシュートはマテウス・モラエスが至近距離でブロックし、危険な場面ではない。しかし、勢いよく試合に入ることに失敗したことは確かだった。
▼リスクとリターン
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