「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

0-3で完敗も、悲観的な内容ではない【ここだけ練習試合レポ】 3/10 大宮アルディージャ戦

 

強風の中、藤田祥史が前線で起点に

 

アウェイで清水に5-0の大勝。開幕2連勝とした翌日、BチームがマリノスタウンでJ1の大宮と練習試合を行った。前週の練習試合には出場しなかった齋藤学と藤田祥史が先発。清水戦に先発し60分までプレーした端戸、86分からの途中出場だった小椋は出場しなかった。

対する大宮は、FW長谷川悠とMFカルリーニョスという昨季のレギュラー格に加え、上田康太、鈴木規郎、片岡洋介らJ1で150試合以上の出場経験ある選手が出場。J1リーグ戦での実績の乏しい若手が多いBチームにとって、現在の実力を測るには絶好の相手となった。

※大宮の出場メンバー

今季初のJ1クラブ相手の練習試合に選手たちのモチベーションも十分であったが、90分を通し止むことのない強風が両チームにとって試合を難しいものにした。1本目はマリノスにとって追い風。大宮の自陣深くからのロングボールは上空で押し戻され、マリノスがボールを支配する時間帯が多くチャンスの数で上回った。CBの田代は風を考慮したロングボールを前線に供給、藤田がラインの裏に抜け出し直接シュートを狙うシーンも何度か見られた。

しかしハイボールだけでなく、リスタート時もボールが転がり何度もセットし直すほどの強風。遮蔽物の影響で上空とピッチレベルでは風の方向も強さも変わった。バウンド後も予想のつかない軌道を見せるボールの処理に苦しみ、マリノスも風上の優位を生かしきれず。1トップの藤田が巧みなポジション取りと柔らかなボールタッチを生かしたポストプレーで前週の練習試合には無かった前線の起点となったが、2列目以降が上手く絡んでフィニッシュに至るシーンは少なく、1本目はスコアレスで終了した。

 

スコア的には完敗だが、収穫もあった90分

2本目はジョン・ドンホに代わって奈良輪が右SBに入り、天野が1列前にスライド。GKは六反。18分に学が下がり、ジョンが再出場して左サイドハーフに入った。

風下となったマリノスだが、開始から攻勢をかける。5分に藤田、直後には学がエリア外から強烈なシュートを放つが、GKの好守に阻まれる。8分には優平が相手陣内でしつこく追いまわしてボールを奪い、藤田を経由して学がエリア内でシュートするもDFのブロックに阻まれた。

18分、六反のゴールキックが強風に押し戻され、バウンドしたボールが自陣エリア内に入ったところを六反がキャッチ。敵味方の誰も触らないまま再度触れたため、エリア内で大宮の間接フリーキックとなってしまう。これを壁の上を抜かれる形で決められ、不運な先制点を許してしまった。

リードを奪われたマリノスは前掛かりに得点を狙うが、カウンターをあびるシーンも増える。36分にはハーフウェイライン付近でファビオがカルリーニョスにボールを奪われ、そのままGKとの1対1に持ち込まれて追加点。気落ちすることなく攻め込むマリノスは、43分に優平のマイナスのクロスからジョンがダイレクトで狙うが、GK正面。アディショナルタイムには比嘉が長谷川悠に振り切られ、またもGKとの1対1を作られて3失点目。トータルスコアは0-3で終了した。

スコア的には完敗だが、90分を通したチャンスや決定機数では互角以上のものがあった。藤田がターゲット役として存在感を発揮し、優平は前週に続き攻守に豊富な運動量でアピールした。昨季終盤から精彩を欠くアンドリューに、少しずつ積極性が戻っていることも好材料だ。ただしDF陣のリスク管理については、前週に続き課題が残った。相手カウンターに対する備えや対応、自陣でのビルドアップに単純な技術と判断のミスが目に付く。始動以来それなりに無難なプレーを見せていたファビオも、やや軽率なプレーが多かった。

 

【Players Pick Up】

1トップでフル出場した藤田祥史は、強風の中でも相手DFとボールの間に巧みに身体を入れてキープし、タメを作って周囲の押し上げる時間を稼いだ。湘南との開幕戦や最近の紅白戦を見ても、藤田の特徴やボールを欲しがるタイミングに対する理解は深まり、藤田へのパス本数も受けた後の連携も向上している。本人的にはシュートが少なく不満の残る内容であったと思うが、裏への飛び出し・ポストプレーと前線のターゲット役として2つの役割を高いレベルでこなし、周囲を使う意識も高い。清水戦では出場機会がなかったが、遠からず公式戦で先発起用される可能性も十分あるだろう。

清水戦でプロデビューを果たした佐藤優平は、前週に続きトップ下でフル出場。喜田が本来のボランチでプレーし、アンドリューのパフォーマンスも上向いたため、

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