問題は65分以前のプレー内容 [J30節 磐田戦レビュー]
台風や荒天について論じても仕方ないだろう。実際の状況はピッチに立っていた者にしか分からない。82分からピッチに立った栗原勇蔵が「ボールが重くて蹴れる状況ではなかった。中にいると田んぼのような状態で、サッカーをするのはなかなか難しかった」とコメントしたように、スタンドから見ていても水たまりが浮いている状態でグラウンダーパスどころか、ドリブルすら困難な状態だった。
一方で、下平匠は「これもサッカー。負けは負け」とさばさばした表情で話す。晴れている試合があれば、雨が降っている試合もある。この日のように台風直撃でショートパスをつなぐことが難しい日もある。すべてサッカーに起こりうるコンディションだ。「後半は水球みたいな状態だった」(エリク・モンバエルツ監督)としても、条件は両チーム同じなのだから「グラウンドのことは仕方ない。その中でどうするか」(中澤佑二)である。
終盤になるにつれて雨風は強まり、栗原は「ボールが転がらないし、ああなったら点は入らない。ゴール前で何ができるかだけど、そこまでいかなかった」と振り返った。実際にスタンドから見ていて、特に天候が悪化したのは後半からであり、いよいよ厳しい状況になったのはジュビロ磐田に逆転ゴールが生まれた65分以降だったように感じる(決して負け惜しみではなく、体感した事実として記す)。
サッカーは90分トータルで行うものだから難しい面もあるが、問題は65分以前のプレー内容にあったと考えるべきだろう。
前半、立ち上がりは特に普通のサッカーができるピッチコンディションだった。そんな中でマリノスに先制ゴールが決まったのは30分。相手のミスに乗じてボールを奪い、右サイドから遠藤渓太が仕掛ける。そしてPKを獲得した。伊藤翔のシュートは一度カミンスキーにセーブされたが、運よく目の前に転がってきたボールを今度こそしっかり決めた。
今季、リーグ戦で勝利した16試合はすべて先制点を挙げている。それに対し、先制して逆転負けしたことは一度もない。傾向から言えば、伊藤が2試合ゴールを決めた時点で勝利に大きく近づいたはずだった。
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