小倉勉SD退任以降の3年間、マリノスには真の意味での強化責任者が存在しなかった。 そんな中での22年リーグ優勝は異例中の異例だった
強化責任者が会見の席に現れた。
本来はエポックメイキングではないはずの出来事が、いつの間にかそうなってしまっている。近年のマリノスの強化体制がいかに歪だったかを象徴する出来事と言えよう。
就任会見の所信表明の場で、西野努スポーティングダイレクター(以下、SD)は「大事なことは今までマリノスが掲げてきたアタッキングフットボールを基本変えず、一方でサッカーはどんどんと変化していますので、変わっていく環境の中で、国内で勝ち、アジアで勝ち、世界で戦えるクラブになる。継続的に世界で戦えるクラブになるためのチーム作りで、来年度のチーム編成についても着手しております」と語り、今後を見据えた。
浦和レッズでテクニカルダイレクターを務めた経歴を持ち、かつては大学教授を務めていた人物である。質疑応答時の受け答えは見事なもので、大きな隙はなかった。重箱の隅をつつくとしたら、来季からチーム統括本部へ招き入れる栗原勇蔵の現役職名を知らなかったことくらいか。
小倉勉SDが退任した2021シーズン以降の3年間、マリノスには真の意味での強化責任者が存在しなかった。黒澤良二前社長、そして中山昭宏現社長が経営だけでなく強化のトップを兼任する構造には、どう考えても限界があった。アジアで勝てるチームを目指す上で重要なACLの規定を考えても、純然たる強化責任者が必要だった。
そこで白羽の矢が立ったのが西野SDである。中山社長は招聘の理由について以下のように述べている。
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