「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

打ち合いも悪くない。マリノスには鋭利なオフェンス部隊がいる [2nd15節川崎戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,506文字-

あえて記述する必要はないかもしれないが、今回は相手のことから。

川崎フロンターレは相変わらず攻撃に特徴を持つチームで、個性的なアタッカーが多く名を連ねる。2年連続得点王で今年3年連続を狙う大久保嘉人、身体能力の高さとゴール前での抜群の嗅覚を持つ小林悠、そして海外移籍から復帰して攻撃のアクセントを加えている田坂祐介。夏にレナトが電撃移籍した影響が懸念されたが、日本人だけでも高い攻撃力がある。

川崎3-4-3彼らを操縦するのが、中盤の中村憲剛と大島僚太である。前者はどの時代も要注意人物であり、フリーにすれば殺傷能力の高いパスを出す。過去の対戦で決定的な仕事をされた回数はさほど多くないが、軽視していい相手ではない。後者は伸び盛りのU-22日本代表選手で、中村よりもボールを運びながらプレーできる特徴がある。ほんの数メートルだけボールを持ち運ぶと局面はガラリと変り、守備のバランスが崩れる。大島のそういったプレーには注意が必要だ。

一方、ディフェンス面に目を向けると「守備が好きな選手はあまりいないと思う」と三門雄大は話す。3バックに入っている面々だけを見ても、CBが本職という選手は一人もいない。これも毎度のことながらゴール前の耐久力に大きな問題を抱えており、それに関していえばここ数年でも最も隙があるかもしれない。つまりマリノスが攻勢に出て押し込む展開になれば、ゴールはそう遠くない。

 

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4-3-2-1_2015

当たり前ではあるが、守備の時間を短くして、どれだけ攻撃に時間を割けるか。これが試合のポイントになるだろう。ゴール前で守ってばかりいても相手のア タッカー陣に苦しめられ、どこかで寄り切られてしまう不安がある。できるかぎり中盤で相手に制限を与え、ボール奪取する。悪くても最終ラインがはね返す。 自陣ゴール前で籠城するのは非常に危険だ。

前出の三門は「打ち合いは避けたい」と相手の攻撃力を警戒したが、個人的には打ち合いも悪くないのではないかと思っている。フロンターレに強力な攻撃陣が あるのならば、マリノスにも鋭利なオフェンス部隊がいる。開幕戦にはいなかったアデミウソンに、相手は驚くことだろう。右足首痛ながら先発出場する見込み の齋藤学は日本人屈指の打開力を持つ。最前線の伊藤翔は上り調子で、攻撃を活性化したい場面ではベンチに富樫敬真もいる。

とはいえ勝ったとしても3-2や4-3といった派手なスコアになるのはマリノスのアイデンティティが許さないのだろう。理想は相手をシャットアウトし、複数得点を挙げての勝利である。問題はそう簡単にいかない場合に、どういった展開がより勝ち点3に近いか、だ。守備合戦で負ける気は毛頭ないが、打ち合っても互角以上に渡り合える。直近9試合を7勝2分のチーム状態と仕上がり具合なら、攻撃自慢のフロンターレと打ち合っても面白い。

 

 

【この試合のキーマン】
MF 11 齋藤 学

右足首の状態は万全ではない。練習後は苦痛に表情をゆがめる日もある。それでも今週はほぼフルメニューをこなし、紅白戦では基本的に主力組に入った。試合当日の朝に大きな問題がなければ、先発として名を連ねるだろう。

前節・ヴィッセル神戸戦では途中出場で大きな仕事を成し遂げた。仲川輝人が負傷離脱し、攻撃の速度を変えられる駒がいない。あえて途中出場する一手も有効に思うが、状態が良化しているのなら先発させたいのも当然だろう。そこは90分間のゲームマネジメントである。

ここまで自身最多となる7ゴールを決め、残り3試合で二桁ゴールを見据える。最近の決定力なら不可能な数字ではないだろう。チームを高みに導き、オフに海外からの高額オファーを勝ち取るためにも、活躍は欠かせない。

 

 

 

 

 

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