【サッカー人気1位】今季初のマルチゴールで勝利、両チームの策でフェーズが切り替…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「悔しい5ヵ月間、やるせない5ヵ月間でした。F・マリノスに加入するにあたって思い描いていた姿と今の状態はまったく違います。とても悔しいですし、もどかしい思いで過ごしているのが本音です」 [吉田真那斗インタビュー(前編)]

【吉田真那斗選手インタビュー(前編)】

実施日:6月5日(水)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

キャンプ中の練習参加でプレーが認められ、瞬く間にプロ契約を勝ち取った。

その歩みは“シンデレラボーイ”と形容するに相応しく、特別指定選手の大学4年次にプロデビューも飾った。

迎えた今年、本当の意味でプロサッカー選手をスタートさせた吉田真那斗。

しかし、ここまでは順風満帆とかいかない日々を過ごしている。

試合出場の機会がなかなか訪れない日々とACLファイナルでの中東遠征など、近況について語ってもらった。

そして、数日後に迫った天皇杯2回戦の位置付けと強い覚悟とは……。

 

 

 

 

1年目で苦しい経験をするのは長い目で見れば悪いことではないという考え方にシフトしました。

 

――1月にプロサッカー選手としてのスタートを切ってから約5ヵ月が経過しました。ここまでの時間をどのように振り返りますか?

「悔しい5ヵ月間、やるせない5ヵ月間でした。自分がF・マリノスに加入するにあたって思い描いていた姿と今の状態はまったく違います。とても悔しいですし、もどかしい思いで過ごしているのが本音です」

 

 

 

 

 

―-思い描いていたキャリアとは?

「厳しいレギュラー争いがあるのは重々承知の上でF・マリノスに加入する道を選びました。もしかしたら最初から試合に出られるという未来も想像していましたし、反対にまったく試合に出られない未来も想像していました。シーズンが始まってすぐに連戦があることは想定できていたので、その中でなるべく多くの試合に絡んでいきたいと思っていました。

 

 

 

 

 でも現実としてピッチに立てたのは4月のセレッソ大阪戦だけ。ベンチ入りもセレッソ戦ともう1試合の計2試合です。控えの枠が増えるACLもメンバーに入ったり、入らなかったりという苦しい状況でした。レベルの高い環境でサッカーをやらせてもらって、自分が成長しているという手ごたえはあります。だからこそ試合に出たいという思いがものすごく強くなっているのが素直な心境です」

 

――レベルの高い競争を覚悟の上とはいえ、どこかでチャンスが巡ってくるだろうという期待もあったのでは?

「シーズン初めは、そう思っている自分もいました。心のどこかで『そのうち試合に絡めるだろう』と思っていたのかもしれません。JFA・Jリーグ特別指定選手だった昨年もわずかながら試合に出させてもらってプロデビューしていたこともありますし、今年に入ってから怪我などで体の調子が悪かったことは一度もありません。むしろ始動してからトレーニングを重ねていって、徐々に体が動くようになっている中で『なぜ試合に出られないんだろう』という思いはありました」

 

 

 

 

 

――宮崎キャンプでは練習試合でゴールも決め、ある程度アピールできていたように見えました。

「練習試合とはいえ数字は大事な部分だと思っていますし、大きなアピールになったと感じていました。でも、それだけで試合に出られるわけではありません。一つひとつのプレーの精度というのはまだまだ足りなかったのかな、と」

 

――そういった状況に置かれた時、メンタルのアップダウンは?

「もちろんありました。最初はアウェイで戦ったACLのバンコク・ユナイテッド戦で(松原)健くんが退場してしまった次の試合が分岐点だったと思います。(小池)龍太くんも別メニューの状態で、ホームで迎え撃つ一戦は右サイドバックとして先発するチャンスがあるかもしれない状況でした。

 

 

 

 

(加藤)蓮くんはプレシーズンからずっと左サイドバックだったので、自分にチャンスが回ってくる可能性は十分あると思っていました。でも、結果としては蓮くんが右サイドバックで先発出場して、それだけでなく右サイドバックで途中出場したのが(村上)悠緋くんでした。その時はさすがに『マジか……』というメンタルになって落ち込みました。自分もベンチにいて、途中交代で呼ばれたのが悠緋くんだったので、自分に何が足りないのかを悶々と考えていました」

 

 

 

 

――自問自答して出た答えは?

「正直に言うと、答えは出ません。でも、それで不貞腐れるような態度を取ってしまえばプロサッカー選手として終わりだと思います。1年目でそういった苦しい経験をするのは長い目で見れば悪いことではないという考え方にシフトして、とにかく目の前の練習で精一杯やることで持ち堪えました」

 

 

 

 

 

――以降の練習や練習試合で成長や手ごたえを感じていますか?

「最初の頃はプレー全般に粗さがあったと思いますし、イージーミスも多かった。それが最近はプレースピードや強度に慣れてきて、徐々に自分の良さを出せるようになってきている感覚があります。いつ訪れるか分からないチャンスのために日々を精いっぱい過ごしてきました」

 

 

 

「(天皇杯2回戦は)ほとんどラストチャンスだと思います。苦しい思いをバネにして、いかに自分を出せるか」

 

――ACL決勝2ndレグは24人でUAEへ乗り込みました。吉田選手もそのうちの1人でした。

「チームが24人で飛行機に乗っていることはもちろん分かっていましたし、試合メンバーが23人なのも知っていました。だから誰か1人だけ外れなければいけない状況で、自分としては何とかメンバーに入りたいと思って遠征前も遠征中も過ごしていました。

 

 

 

 

 

PREMIUMコースとは

(残り 1459文字/全文: 3910文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

tags: 吉田真那斗

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ