「今回は国産なので、GT-Rが入っています(笑)。今、膝の調子はすごく良いんです」ショック療法で宮市の右膝に舞い降りた奇跡 [宮市亮インタビュー(前編)]
【宮市亮選手インタビュー(前編)】
実施日:3月2日(土)
インタビュー・文:藤井 雅彦
背番号23がヨコハマ・エクスプレスの独占インタビュー初登場だ。
今季に入ってからの公式戦全5試合に途中出場。
自慢のスピードを生かしてチャンスを量産している。
そんな宮市亮にACLに懸ける思い、そして一昨年負った大怪我の状態について語ってもらった。
遠くを見ることなく、目の前に一意専心。
彼は今、たしかに燃えている。
「すべて決めていれば7点くらい取れていると思います。あくまでも宮市調べです(笑)」
――ACLラウンド16のバンコク・ユナイテッド戦、特にアウェイゲームでは複数あった決定機をモノにできませんでした。宮市選手にとっては少し苦い記憶として残っている試合かもしれませんが、のちに映像などで見返しましたか?
「目を逸らしてはいけない現実ですし、もちろん映像で見返しました。そこから学ばないといけないことがあります。今年に入って、宮崎キャンプの時からシュートの感覚はずっと良かったんです。ただ、あの試合に関してはまったく“当たらなかった”。自分でも『どこ行っとんねん!?』と首を傾げるようなシュートばかりで……。足がボールにしっかりと当たっていなくて、ほとんど空振っている状態でした」
――アウェイということで、不慣れなピッチコンディションの影響もあったのでしょうか?
「天野選手からのパスに抜け出した一発目の決定機は、シュートを打つ直前にボールが少し跳ねてしまった。でも、そのあと水沼選手がお膳立てしてくれた場面などは単純な技術ミスです」
――焦りもあった?
「いえ、技術の問題だと思います。僕はゴール前の精度がずっと課題で、昨季のJリーグでもそういうシーンがあったのは、みなさんご存じだと思います。だからタイで戦った試合以降、水沼選手の横パスをしっかりと“当てる”練習を毎日のように続けています」
――引き分けに終わった責任やプレッシャーを少なからず感じていたのでは?
「あのラウンドで敗退するようなことがあったら、その責任は自分にもあるなと感じながら第2戦もプレーしていました。でも、プロサッカー選手である以上、次の試合がやってきます。前を向いてやっていかなければいけないので、自分が決め切れなかった事実を受け入れて進みました」
――バンコク・ユナイテッドとの第2戦、そしてリーグ開幕の東京ヴェルディ戦、あるいは先日のアビスパ福岡戦でもチャンスがありましたが、決めきれず……。
「昨日の福岡戦も含めて、ここまで4試合戦いましたけど、チャンスをすべて決めていれば7点くらい取れていると思います。あくまでも宮市調べです(笑)。それでも監督からは「まず、そのシチュエーションにいることが大事だから」とポジティブな声をかけてもらっていて、肩の荷が少しだけ降りています。あとは僕が決めるだけです」
――プロサッカー選手は立ち止まっていられないですし、次のチャンスを生かすも殺すも自分次第ですね。
「チャンスを与えてもらっているからこそ、そこで何を掴むか。僕自身、過去に欧州でそうやって成り上がっていく選手、反対に消えていく選手をたくさん見てきました。ひとつのチャンスを掴むか、掴まないか。それで人生が変わる世界です。自分の年齢が上がってきて30歳を過ぎました。クラブとしては若い選手にチャンスを与えたいという考えが出てくるかもしれないけれど、その中でもピッチに立っている以上はチャンスを掴みたい」
――準々決勝はグループステージでも対戦した山東泰山との再戦になります。
「彼らに対して昨年2勝しているわけですから、僕らは良いイメージを持って臨めます。相手には新外国籍選手も加入しているので簡単なゲームにはならないと思いますが、第2戦をホームで戦えるのは有利。そこではファン・サポーターの後押しがあると思うので、大きな追い風に乗って戦えるアドバンテージがあります」
――宮市選手が果たすべき役割は?
「チームが次のラウンドに進むことが最も重要ですが、しいて僕自身のことを話すとしたらラウンド16のリベンジです。監督は「継続性が一番大切だ」と言っていました。ゴールを決めようが決められまいが、一喜一憂せずにやるべきことをやる。それを続けて、結果はあとから振り返る。それがシーズンを通して僕のキーポイントになります」
――宮市選手のゴールで勝ち進めば、見事なフラグ回収ですね。
「もちろんゴールを決めてチームが勝てば最高ですが、まずは自分がやるべきことを徹底したい。何を求められていて、何をすべきなのか。その役割に集中したいですし、そういう考え方のほうがフィットするんです。後半途中からピッチに入る時は、絶対に流れを変えるという強い気持ちでやっています」
――誰かがヒーローになればいい、と。
「そうです。そして自分自身もそのつもりで毎試合ピッチに立っています。一人ひとりがヒーローになるという強い気持ちを持つことで、難しい展開のゲームでも流れを変えられる。アジアのチャンピオンになれるチャンスがあるわけですから、強い気持ちを持って戦わなければいけません」
「今回は国産なので、GT-Rが入っています(笑)。今、膝の調子はすごく良いんです」
――キャリアを振り返ると、怪我に苦しめられる時間が長かったプロサッカー人生だと思います。一方で今は、元気に稼働しながら結果を求められて、それができていない悔しさや難しさがあるのかな、と。
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