「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

攻撃で主導権をまったく握れない。するとどこかで守備に負担がかかり、影響を及ぼす [1st16節鹿島戦レビュー] 藤井雅彦 -1,268文字-

試合前までの順位はマリノスが5位、対する鹿島アントラーズは9位だった。ACLとリーグ戦を並行して戦った鹿島はシーズン序盤から今一つ波に乗り切れず、試合結果を見るかぎりでは守備面が不安定に見えた。しかし、マリノスと対峙した鹿島は間違いなく強者だった。試合後、小林祐三が本音を吐露した。

鹿島4-2-3-1「鹿島は強い。浦和やガンバよりも強かったんじゃないか。開幕戦のフロンターレ戦も完敗だったけど、今日の鹿島はもっと強かったと思う」

 なぜこのチームが9位に甘んじているのか。いろいろな事情があったのだろうが、今後はさらに状態を上げてくるだろう。ジネイの負傷次第ではあるが、2ndステージの要注意チームだ。

この試合の直接的な敗因は、言うまでもなくセットプレーからの先制点献上だろう。ガンバ戦、甲府戦と2試合連続でセットプレーから失点しており、ゴール前のマークに意識が傾いていた。ボールから目を切った瞬間、鹿島はショートコーナーを開始した。慌てて対応した次の瞬間、マークすべき相手を見失う。シューターのカイオはフリーで、マリノスの裏を突くマイナスパスも見事だった。

ただし、この失点を免れていたとしても、試合は厳しいものだったかもしれない。それほどまでに鹿島は統制のとれた好チームで「隙がなかった」(中澤佑二)。マリノスは攻撃でほとんど良い形を作れず、かといって守備でも奪いどころを作れなかった。必要以上に前線に枚数をかけてくるわけではない相手の攻撃に対して、ボールを奪っても早い攻撃は難しかった。

 

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4-3-2-1_2015 相手が強かったことを認めた上で、マリノスも今後に向けて何かを変える必要がありそうだ。ここ数試合は三門雄大と喜田拓也のボランチコンビで固定されているが、ボールをつなぐためなら、ほかにも選択肢はあるだろう。もちろん彼らのハードワークぶりを否定するつもりはないが、いまのチームは攻撃で主導権をまったく握れない。するとどこかで守備に負担がかかり、影響を及ぼす。特に鹿島のように前線にクオリティの高い選手が揃っている相手だと、どうしても苦しい場面が出てくる。

3失点した守備よりも攻撃のてこ入れを図りたい。アデミウソンの個人技頼みは否めず、効果的なパスが入ったときしかチャンスを作れない。そしてそのパスを入れるための予備動作も少ない。裏に抜ける動きは皆無に等しく、兵藤慎剛のいない2列目は相手守備陣にギャップを作ることができない。あるいは中村俊輔が復帰すれば改善されるのかもしれないが、そのときはアグレッシブな守備と早い攻撃はさらに難しくなるだろう。

マリノスは悩ましい問題を抱えている。

 

 

 

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