2023年02月12日 17時39分　
カテゴリ： レビュー • 富士フイルムスーパーカップ

マリノスらしいデザインされたゴールたち

2023シーズンのJリーグ開幕を告げる富士フイルムスーパーカップでマリノスが自慢のアタッキングフットボールを見せつけた。

序盤こそ一進一退の攻防が続き、思うようにペースを握れなかった。久しぶりの公式戦と不慣れな国立競技場のピッチコンディションにアジャストするのに時間がかかったのだろう。それでも慌てないのはチャンピオンチームだからこその自信か。渡辺皓太は「焦れずに自分たちのプレーに集中すれば勝てる自信があった」と淡々と言った。

その渡辺が惜しいシュートを放ち、新加入の上島拓巳も際どいシュートで相手ゴールを脅かす。徐々に試合の流れを呼び込んでいくと、最初の歓喜が訪れたのは30分のこと。自陣から丁寧にパスをつなぎ、相手ゴール前へ侵入していく。

喜田拓也が右前方の水沼宏太へ。水沼が一度下げたボールを右サイドバックの上島がダイレクトで叩き、中央でフリーになった西村拓真へ通す。西村はすかさず水沼へつなぎ、さらにアンデルソン・ロペスへ。ロペスの折り返しに反応してゴール前に入ったのは永戸勝也だったが、ボールはファーサイドから走り込むエウベルの下へ。

背番号7は右足で冷静にフィニッシュ。「ロペスの近くのゾーンは去年から意識していた」と永戸が涼しい顔で言えば、エウベルはいつも通りの調子で「右サイドから組み立てている時に逆サイドでボールが来るかなと思って準備していた」とニヤリ。見事にデザインされたゴールだった。

前半終了間際に際どい判定から同点ゴールを許したものの、後半に入って再び突き放す。左センターバックで先発した角田涼太朗が単独で持ち上がると、そのままロペスへスルーパス。強烈な左足シュートはポストに弾かれたが、そこに待っていたのは西村。さすがの決定力が決勝点となった。

パーフェクトな崩し×2でヴァンフォーレ甲府を粉砕。トリコロールが6度目の挑戦で悲願のカップウィナーに輝いた。

何よりも大きな収穫は左肩上がりのディフェンスライン

タイトルをかけた一戦であると同時に、来週開幕するリーグ戦に向けた貴重な実戦機会でもあった。選手によって立ち位置は異なり、調整の意味合いが強くなる人間がいれば、アピールしたい人間もいる時期だ。それぞれの思惑によってパフォーマンス内容が多少なりとも異なるのは仕方ない面もある。

最高のアピールに成功したのは角田涼太朗だ。

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