「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ボランチに兵藤慎剛。中村も復帰。 [J28節清水戦プレビュー] 藤井雅彦 -1,797文字-

 

7月27日、今シーズンの折り返し地点となるJ1第17節・名古屋グランパス戦に臨む先発メンバーは、その前の節の11人とまったく同じだった。ちょっぴり懐かしい、まだ鉄人・ドゥトラが現役でプレーしていた頃だ。この2試合を最後にドゥトラは現役を退き、母国へ帰っていった。名古屋戦の次の試合から左SBに入ったのは下平匠である。

4-3-2-1_兵藤ボランチ その第18節以降、マリノスは毎試合必ずメンバーを変えて試合に臨んでいる。2試合続けて同じ11人が先発メンバーに名を連ねたことは一度もない。出場停止あり、負傷あり、そして不可解な選手の入れ替えあり、と理由はさまざまだ。毎試合同じ11人がスタメンでピッチに立てるわけではないが、10試合連続で先発が入れ替わるのもなかなかない。明日の清水エスパルス戦も前節・サガン鳥栖戦からメンバー変更があるようで、これで11試合連続スタメン変更が行われるのが確定的である。

試合に勝っていればメンバーを変える必要があまりないので、次も同じ11人が並ぶ可能性は高い。したがってシーズンが進むにつれて上位のチームはメンバーが固定され、下位に沈むチームはいろいろなパターンの11人になりがち。今節、対戦する清水もそういったチームの一つだろう。人材はそれなりにいるが、監督交代があったこともあってスタメンが固定できない。戦いぶりが安定しないのは当然の事象と言えよう。

マリノスに話を戻すと、清水戦にはまず大黒柱の中村俊輔が戻ってくる。鳥栖戦前の全体練習に合流できていたものの、最終的には樋口靖洋監督と協議して回避を決定。横浜に残って調整し、コンディションを上げることに専念した。その後もしっかり全体練習をこなし、体調面は問題ないあとは試合で爆発するだけ。チームを勝利に導く働きに期待したい。

 

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清水4-1-4-1 そのほかの変更としてボランチに兵藤慎剛が入り、右SBは小林祐三に戻る予定だ。前者はボランチにけが人が続出したことでコンバートされた形だが、樋口監督は兵藤について「ユーティリティープレーヤーだから」と心配していない。本質的には受け手なだけに、そこは中村や藤本淳吾とポジションチェンジしながら前に出ていく形が考えられる。小林については、右足かかとを痛めていたため5試合ぶりの先発になる。実績ある選手だから、中村同様にやってもらわなければ困る立場だ。

残り7試合で、もう一度何らかの方向性を見出さなければいけない。そのためには、ある程度メンバーを固定する必要もあるだろう。固定しつつ、負傷離脱している選手たちを待ちたい。内容が良ければ、そのメンバーを継続するのも一手である。相手は死にもの狂いで勝ち点3を狙ってくるだろう。それに対してマリノスもチーム一丸にならなければ、勝利の凱歌を上げることはできない。

 

【この試合のキーマン】
MF 7 兵藤 慎剛

 ボランチでの出場が確定的だ。中町公祐、小椋祥平に続き、三門雄大まで負傷離脱し、最も層の厚いポジションから、最も手薄なエリアになってしまった。熊谷アンドリューはJ2・湘南ベルマーレに期限付き移籍しており、アジア大会から戻っている喜田拓也は経験値が不足している。
そこで白羽の矢が立ったのが兵藤である。言わずもがな2列目の選手で、昨季と今季は一貫して2列目で起用されてきた。ただ、時計の針を巻き戻すとボランチでプレーしていた時期もあり、一定の計算ができる選手として指揮官の信頼は厚い。
コンビを組む富澤は「ヒョウ(兵藤)は人と人を見ながらプレーできる選手。紅白戦でやったときは、ずっと一緒にプレーしているような感覚になった」と笑った。受け手から出し手に立場を変えるが、頭の切り替えはすぐにできるタイプだけに心配はないだろう。まぎれもなく、キーマンだ。

 

 

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