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【Atsuphoto無料公開】真に考えるべき青赤を導く旗印

◇25日 J1第33節 FC東京 1-3 コンサドーレ札幌(味の素スタジアム)

 

 試合前の記者控室は閑散としていた。担当記者の数は、アウェーの札幌の方が多かったかもしれない。それが早々に無冠が決まり、6年ぶりの二桁順位が確定したFC東京の注目度なのだろう。

 

 この日は序盤から敵陣で多くの時間を過ごし、再三決定機をつくった。攻めの姿勢を貫いたことが実り、前半41分にはディエゴオリベイラのゴールで先制に成功する

 

 しかし、後半立ち上がり6分に、一瞬の隙を突かれて同点。さらには、6分後に逆転を許してしまう。いずれも、後半途中出場の中村桐耶が斜めに差し込んだスルーパスに抜け出されての失点となった。

 

 試合終盤には3失点目を許して試合終了。敵地戦の1-5の大敗に続き、札幌にシーズンダブルを喫した。修正力や、ゲームコントロールなど、大きな差を見せつけられてしまった。

 

 

 今季新加入した仲川輝人はこれまで守備に奔走する場面が目立ってきたが、この日の前半は良さを見せる場面もあった。

 

 

 リーグ戦では6月11日のJ1第17節ガンバ大阪戦以来の先発となった徳元悠平。

 

 

 自身キャリアハイとなる今季15得点目を挙げたディエゴオリベイラが、アシストしたアダイウトンと歓喜のセレブレーション。エースが一人気を吐くも4戦勝ちなし

 

 

 野沢大志ブランドンは自身最多3失点を喫す悔しい結果に。

 

 

 6月11日のG大阪戦以来の出場となった青木拓矢だったが、失点に絡むなど持ち味は生かせなかった。

 

 

 アダイウトンは昨季チーム最多12得点を挙げたが、今季は3得点とゴールが遠い。

 

 

 果敢な飛び出しなどで決定機をつくった原川力。シーズン途中にチームに加わった司令塔も苦しい時間が続く。

 

 

 試合後、主将の森重真人のあいさつは厳しい言葉が並んだ。これで4戦未勝利となり、残すは今季最終節の湘南ベルマーレ戦のみとなった。そこで、来季への希望を見いだせるのか。現場は今、危機感を抱いている。

 

 それまでは、ひたむきで、最後まで諦めない姿勢という指針があった。変革を口にする今、ぼやけてしまったFC東京が目指すべき姿と、その道程をクラブは一度整理しなければいけない。今季はヴィジョンを打ち出し、それを元にきっと僕なんかじゃ想像もつかない各論を戦わせてきたのだろう。表に出る総論なんて抽象的になりがちだが、関わる人それぞれがそれぞれの立場で侃々諤々の議論を行って肉付けをしていると信じたい。だが、それも目標に届いていなければ、足りないということになる。これはエンブレムのデザインの話じゃない。過渡期を迎えた青赤を導く旗印を真に考えるべきときだ。

 

 

text by Kohei Baba

photo by Atsushi Mihara

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