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“東京ドロンパ”ランドセルカバー実現に奔走したのは青赤愛に溢れた調布市からの出向社員【2025 News-2/無料公開】

 

FC東京に出向中の八木憲一さん。東京での仕事は3月末まで。撮影:後藤勝

 FC東京から公立小学校新1年生約2,300名を配布対象として調布市に寄贈された、東京ドロンパをあしらったランドセルカバー。じつは、この施策を推進したのは、調布市からFC東京に出向しているエリアプロモーション部所属ホームタウン担当の八木憲一さんだった。ここでは八木さんの東京愛、ランドセルカバー実現の経緯などについての一問一答をお届けする。

◆職員イコールファン・サポーターが相当数

──八木さんのご担当は。

「肩書きはエリアプロモーション部ホームタウン担当で、調布市と狛江市を担当しています」

──調布市役所内の東京を応援する雰囲気とはどのようなものか。

「やはりホームタウンの中でも、ホームスタジアムである味の素スタジアムがありますし、FC東京のファン・サポーターの職員はかなり多くいるかな、という感じはします。だから調布市としても熱量は自ずと上がってくるというか。職員イコールファン・サポーターみたいなところの人たちが相当数いるという感じなので、そういう意味では、市全体としてFC東京をバックアップしているという状況はつくれているかなという気がしています」

──ホームタウン自治体からの出向でクラブに来ているからこそ実現出来たことというものは。

「昨年の6月、京王線飛田給駅から味の素スタジアムへと向かう歩道橋の階段に『You’ll Never Walk Alone』という文字を記す装飾をさせていただいたのですが、私が調布の職員ということで、FC東京のプロパー社員ではないからこそ、ファン・サポーターの目線で『You’ll Never Walk Alone』などの文字ももっと入れ込みたいという提案をしたら、FC東京側も快諾してくれました。『You’ll Never Walk Alone』というフレーズはただの応援歌に留まらない言葉ではあるので、そのようにファン・サポーターとクラブ、チームの架け橋に行政もなれるよ、というところを示せたかなと思っています」

──FC東京の一員になったことの喜びとは。

「普通に公務員とかサラリーマンをしていると、フットボールクラブはサポートする対象。自分がその中に入ってスタッフとして働くことは考えられないですし、それが実現する機会はほぼ0パーセントに近いというか、滅多にない機会なので。それで、自分も手を挙げてみたというところはあります。それこそ試合の運営に自分も携わり、裏側からクラブの仕事を見ることになった1年間で、通常は経験出来ないことを経験出来ました。それこそプレスの皆さんがどういう風に取材をしているのか。新体制発表会ではそれを記者席で体験して、これが記者会見なのか、と。ぼくらは基本的には、テレビやネットを介してしか見られないものに、いちスタッフとして携わらせていただくというのは、すごい経験だったなというのは実感としてあります」

──フットボールクラブの運営で大切だと感じたことは。

「働くみなさんの熱意がすごいな、と思いました。クラブに対する愛、サッカーというものに対する情熱があり、誇りを持って仕事をされている人が多い。FC東京はJ1クラブの中ではビジネススタッフの数が多いほうではありますけれども、それでも一人当たりの仕事の範囲は広く量はかなり多い。それをこなす活力なり行動力、実行力がすごくある集団だなと、この1年間で感じました」

──そういった過程で出てきた今回のランドセルカバー、実現までの経緯は。

「ランドセルカバーの寄贈自体は、じつは調布市が最初ではないんです。小平市さんが最初にやっていて。そこで、私がFC東京に出向した時、エリアプロモーション部内で、小平市がやっているのに調布市がやっていないのはどうなのか──という話になりまして」

──練習場のある小平市ではやっているが、スタジアムのある調布市ではやっていない、と。

「そうですね。ですから、調布市でもやろうという意向は元々あったのですが、ただこれまでは予算の関係もあってなかなか実現していなかったんです。その事情をわかっていたので、調布市政70周年の記念でやりませんかという話を市の交通対策課さんに持ちかけたら『寄贈をいただけるならやってもいい』という話になったので、私のほうで実現に向けてやらせていただきました」

──東京ドロンパを図案に用いるアイデアはどの辺から出てきたのか。

「まずマスコットそのものが可愛らしいということが一番です。そして東京ドロンパならベイビードロンパがもっともかわいくてキャッチーで、子どもたちにも受けがいいんじゃないかというところを考えて、それで行きましょうという決断に至りました。ランドセルカバーは、基本的には1年生につけてもらう、義務ではなく努力義務みたいな感じだと思うのですが、どこの町でも。これは可愛らしいので、もしかしたら1年生の時だけと言わず2年生になっても3年生になっても、色褪せなければ使っていただけるのではないか、と。交通安全にも役立ちますし、デザイン性はすごく上がっていると思います。子どもたちの目線で見てもかわいいものになっていると良いですね。サッカーを知ってもらう、FC東京を知ってもらうことにもなりますし、それを着けていることがディスアドバンテージにはならなくて、アドバンテージになるような、そんな図柄に今回なったんじゃないかなと思います」

──FC東京を愛する調布市の職員がFC東京のスタッフになり両者を結びつけるような成果が出て、その達成感は。

「エリアプロモーション部として、調布市からFC東京に出向というのは、今年度が初の試みだったんですよね。そこを、田中部長をはじめとしてメンバーのみなさんに助けられて、私の発案というより、エリアプロモーション部全体が発案してくれて、ぼくはその実行部隊をしていたみたいなところもあるので、本当、チームのメンバーに感謝です」

──任期は一年間か。

「そうですね、この3月31日で調布市役所に戻るんですけど、今後もFC東京と調布市の関係はこれからもどんどんどんどん広がっていくはずで、今回初めて出向させていただいた人間としては、この関係性をずっと継続していけるとすごくいいなと思っています。今後もいっしょにタッグを組んでやっていきたいと調布市職員としても思っていますしFC東京に1年間いた人間としても、ホームタウンというのはFC東京が一番大事にしているものなので。今回はその連携の第一歩になれたかなと思っています。ファン・サポーターのみなさんには『今後もFC東京と調布市役所をどうかよろしくお願いします』とお伝えして、離任そして帰任のご挨拶とさせていただければと思います。今後ともよろしくお願いいたします」

撮影:後藤勝

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