野澤大志ブランドンのしなやかさを生み出したJ2での苦闘とは。「不安がピッチに出ていた。そこを変えないといけないと思った」【Pick up Young Player/リード文からコメント部分まで無料公開】

撮影:後藤勝
林彰洋が契約満了後にベガルタ仙台へ、波多野豪が期限付き移籍でV・ファーレン長崎へ。この状況でFC東京に加わった大型ゴールキーパーが、いわてグルージャ盛岡への期限付き移籍から復帰した野澤大志ブランドンだ。ヤクブ スウォビィクからポジションを奪い取るのは容易ではないと思われるかもしれないが、現在、野澤大志のプレーの水準はJ1のレギュラー級がもうひとりやってきたかのような高さにあり、頼もしさを感じさせ、少なくとも競争相手としての資格は十分あるように見える。一年半前、小平から岩手へと旅立ったときに比べて明瞭な、とある変化は何が要因になっているのか。私(後藤)自ら質問した箇所の一問一答を無料で読めるよう掲載したあと、考察をお届けする。
◆一問一答

©F.C.TOKYO
──岩手には一年半在籍。あらためて訊ねたいが、強化の安竜鎮さんにはどのような期待され、どういう評価を与えられたのか。
最初(岩手に)呼んでいただいたときはJ3で、J2昇格とJ3優勝を争っているタイミングでした。その時点ではチームを勝利に導いてほしいという想いで呼ばれたので、ぼくも「ぜひそのチャレンジをさせてください」と意気込んで移籍したんですけど。もちろん結果はついてこなかったんですけど、練習からの取り組みなどを見てくれていて認めてくれている部分もあったんじゃないかと思います。
──昨シーズンに岩手は降格したが、個人としては向上したという手応えは残っているか。
J3のときは昇格しましたけど、ぼくとしては自分が昇格を掴み取ったというよりチームのみんなに助けられたという感覚があって。やっぱりちょっと不安を残したままJ2でのチャレンジに入ったんですけど、案の定、なかなかうまくいかない時期がつづいていて、それで自分を見つめたときに、怖気づいていたというか。不安になりながらプレーしていたものがピッチに出ていたなという印象があったので、そこは変えなきゃいけないと思ってプレーすることが出来ました。
──そういう、ある種つらいこともあったからこそ、いろいろな面で変われたところもあるのでは?
はい。そうですね、昨年の時点でカテゴリーはちがえど、自分の中で苦しさとかそういうつらさとかを経験して、本当にそれがいまとなれば、本当に感謝したい経験だったというか、ありがたい経験だったとすごく感じています。
それを経験出来たことはぼくの今後にももちろん活きてくるでしょうけれども、プロという立場にいる意味をしっかりと考えてもいたので、やっぱりこういった経験が人々に何かを与えられるきっかけにもなるんじゃないかなと、すごく思わされました。
──これは私が勝手に思っているだけなのでもし間違っていたらそう言ってもらってかまわないが、以前東京にいたときよりも身のこなしが機敏になり、しなやかに身体を操れているように映る。始動の時点でもそうだったのでコンディションの問題ではなく根本だと思うが、自身では変化を感じているか?
そうですね、それはあるかもしれないです。
もともと考えながらプレーする人ではあったんですけど──考えるのは大事なんですけど、やっぱり考えすぎるとどこかプレーが縮こまってしまうというのも経験したので、なんでしょう、ベースとしては……言葉にするのはすごく難しいんですけど、本当に気持ちの面での変化があったから、いまのプレーにつながっているんじゃないかと思います。
◆期限付き移籍がすべてを変えた

撮影:後藤勝
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