青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン

【コラム】優勝への道標を立てるには/高橋秀人、羽生直剛(2015/02/14)

コラム◆優勝への道標を立てるには/高橋秀人、羽生直剛

2月13日におこなわれた練習試合、対京都サンガF.C.戦で、FC東京は4得点。武藤嘉紀が演出した相手のオウンゴールを除く3点を決めたのは、6日前の試合後にそうとう悔しがっていた米本拓司、そして現状ではサブの立場から出場機会をうかがう羽生直剛と石川直宏だった。偶然かもしれないが、何かを渇望する者の前にボールが巡ってきた結果となっているように思える。

FC東京が公式の大会で優勝を味わったのは2011年度のJ2と天皇杯にまで遡る。特にシーズン終盤はプレッシャーをかけてボールを奪う網のつくり方、ポジショニング、タイミング、選手同士の距離がよく、攻撃もダイナミックで、先発メンバーは黄金比とでも形容すべきバランスを保っていた。

この充実したチームで2012年1月1日の天皇杯決勝、対京都サンガF.C.戦(くしくも4ゴールを挙げて勝ち、優勝した)に先発した選手は権田修一、徳永悠平、森重真人、今野泰幸、椋原健太、高橋秀人、梶山陽平、石川直宏、羽生直剛、谷澤達也、ルーカスの11人。ルーカスは引退、今野、椋原、谷澤は移籍し、いま東京にいるのはギリシャ帰りの梶山と甲府帰りの羽生を入れて7人だ。そして梶山、石川、羽生は、練習試合対京都戦の1本めには先発しておらず、先発でありつづけているのは権田、徳永、森重、高橋の4人だ。かんたんに言えば攻撃のタレントには継続性が薄く、守備のタレントには継続性がある。守備に関してある程度の信頼性があり、得点の手段にやや不安がある現状は、このような人材流動の結果を反映したものでもあるだろう。対モンテディオ山形戦から引きつづき1本めに先発の前田遼一、武藤嘉紀、河野広貴、そして対京都戦で1本めのメンバーに食い込んだ三田啓貴らの組み立てにも期待したいが、もといた場所を狙う羽生や石川ら年齢を重ねた選手の「自分がこのクラブにいるあいだに優勝したい」というモチベーションも、動力源になればよいと思う。

2011年のチームで、中央を締めるボルトになっていた高橋秀人、トップ下からの動きで相手の守備を崩していた羽生直剛は、三年が経ち、それぞれ「中堅」「ベテラン」と呼ばれる年齢になった。しかし加齢によって変わる面があり、マッシモ フィッカデンティ監督が考えるターンテーブルのリストの上では、先発と準レギュラー級の差はあったとしても、チームを思考と労働の面から支えようとする熱心さは、ふたりとも以前と変わるところがない。そして変わっていかなければいけないところがあると認識している。

高橋秀人に「守備のセンターラインは変わっておらず、ここは継続できる部分ではないか」と訊ねると、継続するだけでもいけない、という旨の答えが返ってきた。
「いままでのものを継続していくだけでなく、更新していかないといけないと思います。よりクオリティを高く、より深くということもそうですし、新たな守備のやり方にもトライしていかないといけない。ある程度やり方が定まってきた守備を強みとして持ち、そのクオリティを上げつつも、ちがったやり方のチェイシングをしたり、試みていきたいという気持ちはあるんです」

謙虚な高橋は何事に於いても改善していこうと前向きに取り組む。だから成功事例も鵜呑みにはせず、活かすにしてもその中身は吟味する。
14戦無敗だった時期の勝点を1ステージ17試合のあいだに獲得できれば優勝争いに食い込める――のロジックで、マッシモ フィッカデンティ監督の皮算用をわれわれメディアも転用する機会が多いが、そこにとらわれ過ぎるのもいかがでしょうかと、高橋はちがった見方を提供してくれる。
「昨年について14戦無敗の時期にフォーカスして言われることが多いのですが、東京は序盤戦と終盤戦に負けてしまっています。鹿島などの(上位常連)チームが持っている強さは、年間を通じてどれだけ勝点を積み重ねていけるかというもので、連続記録がどうとかではなく、トータルでの成績が問われるんです。3連勝して1敗のペースでも14戦無敗と同じ結果になる。もちろん、

(残り 2250文字/全文: 3934文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ