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【無料記事/レポート】◆日本代表に招集されたFC東京守備陣の要諦、森重と権田:残された日々に於けるレベルアップ(2014/02/27)

◆日本代表に招集されたFC東京守備陣の要諦、森重と権田:残された日々に於けるレベルアップ

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3月5日に開催される国際親善試合「キリンチャレンジカップ2014」日本対ニュージーランド戦(国立競技場)のメンバー23人が2月27日午後、発表された。
海外組11人に対して国内組は12人。その国内組のうちふたりに、FC東京の森重真人と権田修一が含まれていた。ワールドカップイヤーになってのメンバー変更どころかフォーメーションと戦術の変更があった前回大会を思えば、彼らのこれから出て行く力が必要になる可能性はおおいにある。今回の選出をどう受け止めているのか。所属の東京での午後練習を終えたふたりが、それぞれ囲み取材に応えた。

久々の日本代表にも森重は落ち着いたものだった。
「やることは別に変わっているわけじゃない。練習は二日間あるので、しっかりとコミュニケーションをとり、やっていきたい。現在の国立では最後の代表戦となりそうですし、いいかたちで自分自身もチームも国立のラストを飾れればと思います」(森重)
いっぽうの権田はまもなく始まるJリーグへの意識を持ちながらも、クラブと代表の活動を地続きなものとし、日々自らを向上させようとの思いを新たにしているようだ。
「ワールドカップイヤーの最初の合宿に対して集中して臨みたい。あさってのJ1開幕戦が念頭にあるのは正直なところですけれども、ことしはクラブでも代表でも、個人としてもチームとしても、すべてのパフォーマンスを完璧なものにしていきたい。練習でも試合でも完璧を求めてやることですべてがよい方向に向いていくのだと思います」(権田)

森重がいま代表で置かれている序列は今野泰幸と吉田麻也のあとを伊野波雅彦とともに追うというものだ。代表常連となってきたからといって立ち止まるわけにはいかない。
「いまの自分の立場で満足するわけでもないですし、スタメンを勝ち取っているわけでもない。とにかく常に上をめざして、どんな状況であっても満足することなく前に進むことが重要だと思います。上を見ながらやっていきたい」(森重)

今野と吉田を追い抜いたからといって、それで終わりではない。重要なのは本大会で世界の強力な攻撃陣を抑えることにある。このミッションははっきり言って難しい。この段になってセンターバック候補が四人に絞り込まれ、これ以上出てこなさそうなことを考えても、そもそも資質を持ったものが少ないのだとわかる。つまり、いまいるメンバーがレベルアップする以外に対抗策はない。
しかし森重は特別な強化は考えていないようだ。
「この短期間で極端なレベルアップは望めないと思いますし、いままで取り組んできたことをこれからの期間にやればいいと思っています。ワールドカップイヤーだからといって特別なことをやろうとせず、いつもどおりにしっかり課題を持って取り組むことを毎日やっていきたい」(森重)

その裏には、日々イタリア人指揮官やコーチから欧州流を吸収していることによる確信も何割かは含まれているのかもしれない。
アルベルト・ザッケローニとマッシモ・フィッカデンティの共通性に関しては「守備がこまかいというのは、みんなが言うイタリア人ぽいところかなと思います」と言う程度に留まるが、イタリア語に関する話題になると笑みが漏れた。
「権ちゃん(権田修一)を通訳にイタリア語を少し憶えました。よく耳にする言葉。恰好いい言葉を自分でも言ってみたいと思って。チェントロカンピスタ。中盤という意味なんですけれども」(森重)
ディフェンダーを意味するイタリア語は知らないという。パスを出す相手は中盤だから問題ないのだろうが……このおおらかさが、あるいは世界に立ち向かうための武器なのかもしれない。

森重のおおらかさに対し、権田の武器を挙げるとすれば真摯さになるだろう。
「日頃から意識しつづけないと。きょうは集中してやります、きょうは集中しないでやります、とやっている選手がこまかいところにこだわれるかといえばそうではない。細部にこだわることが大きなものを掴むためには大前提。絶対に必要な条件なのかと思います」(権田)

ワールドカップイヤーを契機に正キーパーを獲得したのは現在の川島永嗣も同じだ。しかしそれを決めるのは監督であり、自らは精進を重ねてその土俵に上がるしかないとの姿勢は崩さない。
「がんばったから選ばれるというものでもありません。そもそも全員ががんばっている。しっかりと準備をしたうえで監督やスタッフの方がどういう判断をするか。完成されたプレーを見せつづけないと、競争の土俵に乗ることができない。(川島)永嗣さんはベルギーで、つい先日に敗れるまでずっと点を獲られず負けていませんでしたし、(西川)周作くんは二年つづけてJリーグで優勝して何かを変えないといけないと移籍をして。林卓人さんにしても東口順昭くんにしても、みんなが環境を変えてそれぞれのやり方で変わろうとしている。高いレベルのチームへの、チャレンジだという印象があります。(欧州にいる)永嗣さんに到っては毎日がチャレンジでしょう。移籍をしていないぼくも何かを変えないといけないですし、移籍しないなかで結果を出してチャレンジをしないといけない。監督が変わりGKコーチが変わるという変化があったので、そこで吸収できることはしっかりしたい」

今シーズン移籍をしなかった森重と権田には、イタリア人スタッフによる恒常的な指導がついている。残された時間でどれだけ己を磨けるのか。それが代表の未来を決するのかもしれない。

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