苦悩の2-2【ショートレビュー/マッチレポート】2013 Jリーグディビジョン1 第15節 浦和レッズFC東京_第1報(07/10)[3,900文字](2013/07/11)
◆ショートレビュー
隣席になったジャーナリストの後藤健生氏に「FC東京はいいサッカーをするじゃないですか」と云われた。
たしかに個々のプレーに関してはすばらしい出来で、そこを評価していただいたことに関しては嬉しく思うが、やはり90分を通して納得のいく試合運びができず、引き分けに追いつかれてしまったことは残念だった。
森崎和幸がそうするのと同じように阿部勇樹がディフェンスラインに下がってカバーし、ボールポゼッションを司る点までサンフレッチェ広島に酷似した浦和レッズを相手に、前節の反省を活かして勝つことができるか?
東京は浦和への対策を施して試合に臨んでいた。
試合後、浦和3バックの要である那須大亮は「かなり研究されていた」と舌を巻いていた。
2シャドーに送るパスコースのことごとくを東京がカットしていたからだ。
これは前節の広島にも当てはまることなのだが、今節のほうがより研ぎ澄まされていたということなのか?
ファーストハーフ45分間のうち、キックオフから30分間に関しては、中盤でいくらでもインターセプトできるとばかりに、ボールを保持する浦和に対するカウンターを東京は繰り出していた。
相手に持たせて、焦らずじっくりと。獲れるときには高い位置で奪って速攻。無理なら引いて低い位置で奪ってもいい。そうして最終ラインから丁寧に廻す時間帯もあった。
前半に関してはうまくいっていた。
後半最後の20分で引いた時間帯に入った東京だが、スタミナ切れか、長いボールを蹴ろうにも前線の活力が少なく展開できず、後方で廻しながらラインを押し上げることもできず、浦和に押し込まれる状態になってしまった。
三失点めも時間の問題といった空気のなか、なんとか引き分けで終わることができてよかったという内容だったと思う。
他会場の結果を見ても後半35分以降に決まった得点がやたらと多く、この暑熱を考えれば無理もないとは言えるが、個々のパフォーマンス、局面でのプレーはすばらしいのに、90分をリードしたまま凌ぎきる試合運びができずに勝点を失うという試合を、またも繰り返してしまったことは反省しなければならないだろう。
もはや体力的にも限界が来ていたとしてアディショナルタイム突入間際の残り10分、浦和の猛攻にベンチワークで抗うことはできなかったのだろうか?
ランコ ポポヴィッチ監督によれば、徳永悠平に熱中症のような徴候があり、彼の交替をも考慮しながらの戦況判断で、交替に動くことが難しかったという。
トラブルも重なっての猛暑での試合、かろうじて勝点1を得ることができてまださいわいだった。
前節のふがいない結果から今節での巻き返しを誓った長谷川アーリアジャスールと三田啓貴が得点を決めたことは喜ばしい。
しかしそれでもまだ踏み越えなければならない先がある。
アウエーの対アルビレックス新潟戦では、さらに先へと進んだ姿を見せてほしい。
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