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【レビュー/コメント】2013 Jリーグディビジョン1 第1節 大分トリニータ対FC東京(03/02)_第2報 ランコ ポポヴィッチ監督、権田修一、長谷川アーリアジャスール、東慶悟、李忠成(2013/03/04)

青赤丸、大分より出航

◆強気の姿勢が実を結んだ開幕戦

開幕戦はFC東京のよいところがたくさん出た試合だった。有言実行、ここまで監督、選手、強化部が言葉で表現してきたことの多くが実際のプレーにあらわれていた。
カウンターに対する準備の意識。自分たちのスタイルを出しながらも、対戦相手のやり方にも対応する意識。特に大分の場合はカウンターとトリック(サインプレー)が特徴で、開幕戦での仕掛けのほとんどは想定内のものだった。唯一、対応できなかったのは失点の場面だけだ。
内容にこだわりながらも結果に対するこだわりを高めてきたこと、最低でも勝点1を獲ること、新しい選手を買ってくるのではなく、かぎられたバジェットで最大限の効果を発揮すべく、継続性を重視したチーム編成をおこない、ポゼッションとタテを衝く攻撃と躍動するハードワークという去年一年間追求してきたスタイルを熟成させること。
複数ポジションをこなせる選手を揃える、または同一ポジションを近いレベルでこなせる選手を複数揃えること。
いまのところはすべてが狙いどおりだ。ファーストハーフが終わってもいない30分に加賀健一が腰に手を当てて途中で退いたとき、ふつうなら「センターバックの先発にアクシデントが。なんてこった」と頭を抱えるところだが、東京にはチャン ヒョンスがいた。昨季も加賀の故障後にディフェンスラインに入って経験を積み、今季も加賀と交互にといった感じで起用されて開幕前までに準備をしてきたヒョンスに死角はなかった。森重真人とヒョンスのコンビにはまったく問題がなかった。

恥ずかしながら、先制された場合の結果を、1-1と予想していた。ビハインドの状態では必死になって点を獲りに行く。だから同点には追いつくが、1-1としたあとは、負けたくないという意識が働き、勝点1を確実に獲りに行くのではないかと思ったのだ。
ところが、プレッシャーがかかるアウエーでの第1節、東京は想像以上にアグレッシヴだった。前がかりに攻めている状態を指すスラングに「攻めダルマ」というものがあるが、ほとんどの時間帯で東京が相手エンドに押しこむ状態がつづいた。この結果、東京は相手のミスから決勝点を奪い、1-2の勝利に持ちこんだ。
またこの東京の圧倒策によって大分トリニータは高い位置からのショートカウンター、ハーフカウンター(それこそ昨季昇格プレーオフ決勝でジェフユナイテッド千葉から決勝点を奪ったときのような)を実行できず、カウンターは何回も放ったものの、概ね長距離のクラッシックなカウンターになってしまった。

大分トリニータのアンカーを務めた元FC東京の宮沢正史に「東京に対して距離の長いカウンターが多くなってしまいましたが、もうちょっと高い位置からカウンターを狙っていきたかった?」と訊くと、こう答えられた。
「そうですね、それができればいちばんいいんですけど、やはり(東京は)パス廻しは巧いですからね。森重(真人)中心にうしろからしっかりとビルドアップしてきますし、ボランチもしっかり保てます。いちばんいいのはショートカウンターなんですけど、いいかたちで奪うことができませんでした」
攻撃は最大の防御、とは、試合後のランコ ポポヴィッチ監督も口にしていた(「ボールを持つことで失点を防ぐのは自分たちの考え方のひとつです」)。

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