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無料記事 【プレビュー】2012 Jリーグディビジョン1 第27節第1日 FC東京対ジュビロ磐田(2012/09/27)

相手は4位のジュビロ磐田

FC東京は29日、ホーム・味の素スタジアムにてJリーグディビジョン1第27節に臨む。前回ヤマハスタジアムでの対戦で敗れているジュビロ磐田が相手だ。
組織としてはハードワークと個人での打開が特徴的で、得点ランキング上位に名を連ねる前田遼一と山田大記がいる。前節対アルビレックス新潟戦で負傷した山崎亮平も全体練習に合流したとのことで、タレントの面で不足はない。いまはサガン鳥栖を上回る4位でACL圏内をうかがう上位チームであり、紛れもなく今季のJ1では強豪の部類に入る。手強い相手だ。

しかしランコ ポポヴィッチ監督は磐田を畏れる必要はないと言う。
「前回の対戦にしても、相手に崩されたというより、自分たちの不用意なミスからの失点だった。1失点目はヒデ(高橋秀人)、(椋原)健太、加賀(健一)、三つのミスが連鎖した。2失点目に関してはクロス(シュータリング)でしたね。権田(修一)とのコミュニケーション不足で、モリゲ(森重真人)が少し待ってしまい、処理を任せてしまったところで決められた。それも修正して改善して行かないといけないことです。そういうイージーなミスが起きないようにしないといけない」

前回の対戦は夏場の不調時に

選手の捉え方はもう少し深刻で、たとえば高橋秀人は、アウエーでの対磐田戦を、今季ワースト3の一角に掲げている。何もできずに完敗した試合三つとは、
・AWAY 横浜F・マリノス(6月14日、J1第14節)
・AWAY ジュビロ磐田(6月30日、J1第16節)
・HOME アルビレックス新潟(7月28日、J1第19節)
いずれもACL後の不調をかこっていた時期にあった試合だ。

高橋は不調の時期のサッカーについて、次のように述べている。
「相手がブロックを敷き、引いてくるので、ポゼッションをしてどこでスイッチを入れるのかをうかがうシーンが多かった。
三人の動きが噛み合ったときの(東京の)ボール廻しはすばらしいものがあると思いますけど、逆に読まれるときは読まれやすい。パスに必要以上にこだわりすぎ、傾きすぎていたのが夏場の試合だった」

そのバランスは変わってきている。引いた相手の様子をうかがいながらも、常に相手が引いている状態であれば、パスで廻すのではなくドリブルで仕掛けるなど、一歩でも自分でボールを前に持ち出すようになった。
「サッカーの本質である、ボールを少しでもゴールに近づけるというところを、個人戦術でこっちが忘れなければ。
個人で打開できるなら打開するし、幅を使うなら使う。特にナオ(石川直宏)さんと羽生(直剛)さんは、パスをするのかしないのか、相手に食いつかせるのか自分で運ぶのかという判断と、選択肢の多さをこの前の試合の前半で示した。そういう部分をこれからもっともっと突き詰めたい」(高橋)

ゴールを意識した攻撃の改善

名前が挙がった石川も、攻撃の変化には手応えを感じている。
「いまいいのは、誰かが動いたスペースに、また誰かが入ってくること。動きの質もそうだし、ボールの動かし方も非常にいい。いまは点を獲るというところに意識を持って行っている。ボールの動かし方でいえば、しっかりつないだなかで、どこでアクションを起こすのか、そこがスムーズになってきた。
どうフィニッシュにつなげていくのか、先のほうに意識の重点がシフトしてきている。ゴールまでのイメージは以前は具体的ではなかったんですけれども、最近は点が獲れていないがゆえに、ゴールまではっきりとした意識を持つというように変わってきています。タテに入った楔に対してみんな連動するなかでシュートまで持っていくシーンが増えてきている。
精度を上げるというよりは、シュートを撃てば可能性が高まるから、ゴールの近くでシュートを撃つ。そのことで得点の可能性を高めたい。
チームとしてはメリハリ。つないでゴールまで行くところと、スペースに出て行ってゴールを狙うところと。
ゴールに迫っていくためのつなぎでありランニングが具体的になってきている。いままでは行くまでを考えすぎていた。一つひとつをクリアしながら、イメージの共有ができてきている。
プレーしていて効率がいいと思うのは当てて出る、その繰り返し。動き直して動きつづけ、スペースを見つける、スペースをつくってそこへほかの選手が入ってきてシュートで終わるとか。個人で仕掛けることも大事ですけれども、個人としてもチームとしてもボールのないところでの動きをさらに高め、ゴールを狙いたい」(石川)

いまさんざん指摘されている試合運びの拙さも、先制点が決まれば解決されるのではないか。こう指摘すると石川は即座に「そうなんですよ」と応えて苦笑した。
「そこなんです、すべては。点が獲れないとナーバスにもなる。後半の最初に点を獲られてしまうんじゃないかという雰囲気になること自体が問題ですね。でも先制すれば自分たちの時間が増える。むしろ失点しない、0-0でもいいと思うし。
(先制するか、できなければ0-0にすればいいというのは)難しいようでシンプル、シンプルなようで難しい(笑)」
先制するためには、もちろん得点力を上げることが重要だ。今週はシュート練習から全体練習に入ったり、ペナルティボックス~バイタルエリア付近でのゴールを意識した練習をおこなうなど、得点感覚を養い得点ルートを認識するためのメニューに取り組んでいる。何も対策をしないよりは効果があるはずだ。

ディフェンスの問題とは

そのように、相手のことよりも自分たちの準備を整えることが次節への対策になるのかもしれないが、やはり相手を研究するに越したことはない。高橋はジュビロ磐田について、こう語っている。

「前回の対戦では走り負けた部分がある。自分たちが走り負けたというのもあるし、ジュビロの選手たちはしっかりと、ゴールに向けて推進する、眼の前にスペースがあるのであれば運ぶ、ということができていた。だから、どうしても自分たちは後手を踏んでしまった」
一歩でもゴールに近づけることの大切さを磐田から学び、いまは、一人ひとりがゴールへ向かう姿勢を持ったなかのパスの選択ができていると、高橋は言う。

ディフェンシブなポジションを担う選手としては、前田遼一をマークしなくてはならない。
「(前田が)優れているのはゴールを獲れるポジションにいるというところ。自分がポストプレーに入ったあとにしっかりとゴール前に進出していく能力がある。
それに、相手の背後をとるか相手の前に出てくるかというところで駆け引きをしてくる。そういう部分はストライカーらしい、赤嶺真吾さんや佐藤寿人さんにもある、嗅覚と呼ばれるたぐいのものだと思うので、常に眼を離さずマークしたい」(高橋)

東京のディフェンスの問題は、ホームでの対大宮アルディージャ戦に於けるノヴァコヴィッチのゴールや、前節の対川崎フロンターレ戦に於ける楠神順平のゴールのように、人数が揃っている状況でシュートを撃たれたり、個人で打開されたりして失点することだ。高橋は「誰が誰をマークするのか、対人で自分たちに隙があることでの失点なので、より人に対する集中力を上げて試合に臨みたい」と言う。
まずは人を見ること。スペースに飛び込んでくる誰かを掴まえること。つくられたスペースが危険だと察知しながら人を見ることで失点は減る。

攻撃と守備を改善し、全体の運動量で相手を上回り、攻撃のキーマンを抑えれば、当たり前だが勝利は近づく。そして実際にサッカーを運用する気構えも、決して折れてはいない。
「前回負けているということもある。まだ自分たちがACLに行けると疑いなく信じてもいる。ACL進出のためにもジュビロに勝ちたい」(高橋)
もう残り試合は八試合と少ない。それでいて3位との勝ち点差は8。ギリギリだ。もう負けている余裕はない。
いまやらずに、いつやるのか。ホームでの連敗は士気にも関わる。今シーズンを終わらせないためにも、是が非でも勝ち点3を狙うべき決戦となるだろう。

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