【シリーズ】2023 シーズンレビュー vol.4……響く歌声
(vol.1……高き理想)
(vol.2……軌道修正)
(vol.3……試行錯誤)
2023シーズン、横浜FCにとって3度目のJ1挑戦は、過去2回と同じように最下位での降格で幕を閉じた。開幕から10試合勝てず、昨季の主力が相次いで離脱する中で、それでも最終節まで希望をつないだ。今季の苦闘を振り返っていく。
(文と写真/芥川和久)
▼天国と地獄
シーズン前には「まあ、もしかしたらそうなるかもね」と、あくまで可能性として笑い話にもしていたことが、シリアスな実体を伴って迫ってきた。横浜FCにとってはゴールデンウイーク前には覚悟していたが、当時の湘南はまだ中位にいた。いずれにしても、このシーズンのJ1の勢力図がはっきりする、1巡目の対戦が終わるころには、誰もがこの第33節・横浜FC×湘南(11/25)が残留争いの天王山となると意識していたはずだ。
サマーブレイク以降、第22節から第32節までの横浜FCは1試合平均獲得勝点が『1.3』、平均得点『1.4』、平均失点『1.3』と、通年でこの数字を出せれば中位にいられるほどの成績に持ち直していた。
誤算は、第7節から第21節まで勝ちなしが続いていた湘南が、それを上回るペースで勝点を積んできたことだった。第22節から第32節までの平均獲得勝点は『1.6』。平均得点は『1.2』だが、平均失点は『1.0』。横浜FCがサマーブレイクに守備からの攻撃を整備したように、湘南もその期間に、第21節までの平均失点『2.1』を数えた守備をしっかり立て直していたのだった。
また、なかなか連勝や負けなしを続けられなくて勢いに乗れず、直前の第32節・鳥栖戦でようやくチームとして自信を持てる状態に持っていけた横浜FCに対し、湘南は第29節から第32節までを3勝1分と勢いに乗っていた。
ニッパツ三ツ沢球技場には、第25節の横浜FCダービーを上回る13,624人が詰めかけた。横浜FCサポーターにはフラッグが配られ、スタンドをハマブルーに染めた。勝てば天国とまでは言えないが、負ければ確実に地獄の大一番。あのダービーのように、1-0の最終盤に「フリエ、オイ!」が響き渡った第30節・FC東京戦のように、スタンドも一体となれば勝利を引き寄せられる。誰もがそう信じた。

湘南戦、横浜FCサポーター席はハマブルーに染まったが……
しかし、積み上げたものが差となって表れた。それはチームの状態だけでなく、積み上げた勝点の差、得失点の差も大きく影響した。
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