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ONODERA GROUPはマルチクラブオーナーシップで何をやろうとしているのか?【いちばん分かりやすい解説・後編】

 

(前編はコチラ)

横浜FCサポーターの皆さんもご存じの通り、横浜FCの親会社である株式会社ONODERA GROUPは昨年11月、ポルトガル2部リーグに属するUDオリヴェイレンセの経営権を取得しました。これによってONODERA GROUPは、日本初の試みとなる、複数の異なる国のクラブを経営する『マルチクラブオーナーシップ』を実現しました。

去る9月19日、横浜市内にて[日欧マルチクラブオーナーシッププロジェクトに関するメディアブリーフィング]が行われました。このコラムではその内容を横浜FCサポーター向けにかみ砕いて、ONODERA GROUPがこのマルチクラブオーナーシップで何をやろうとしているのか、そしてそれが横浜FCにどう影響していくのかを紐解いてみたいと思います。

(文/芥川和久、写真&資料提供/横浜FC)

 

▼ONODERA GROUPの本気

前編では横浜FCからオリヴェイレンセに選手を送り込む話に終始しましたが、もちろん逆のことも考えられます。オリヴェイレンセに所属する選手の中に横浜FCで必要な人材がいれば加入させることができるでしょうし、横浜FCに移籍させることを前提でオリヴェイレンセがポルトガルリーグの選手を獲得することもあるでしょう。日本とヨーロッパでシーズンが違うというデメリットに対しても、オリヴェイレンセで半年間プレーして横浜FCに期限付き移籍→完全移籍といった方法をとることもできます。

またDAZNでオリヴェイレンセの試合を日本配信していることから、日本のほかのクラブがオリヴェイレンセの選手を獲得する可能性も出てきます。この場合はオリヴェイレンセに移籍金が入るわけですが、オリヴェイレンセが潤えばONODERA GROUPからの持ち出しがそのぶん減るということで、横浜FCにとっても当然良いことです。

▲「われわれが放映権を取って費用を負担することによってDAZNさんとパートナーシップを組めたことは非常に大きかった」(山形CEO)

 

現状オリヴェイレンセは、クラブ単体としては赤字です。山形CEOによれば、オリヴェイレンセの年間収入は「約3億5000万円」。横浜FCの約1/7です。ポルトガルリーグの収益源は放映権料とスポーツベッティングと移籍金収入に偏っており、2部リーグでは放映権料がかなり低いために「オーナー企業の赤字補填がない状態でやれるクラブはどこにもない」。ただ、リーグとして上(のカテゴリー)に非常に手厚くしているため、1部リーグに昇格すれば放映権料がはね上がる。つまりは「みんな1部リーグに昇格するまで投資をして、昇格したら回収しようというのが基本的な考え方」だということです。

「2027年からポルトガルリーグ全体の放映権料上がり、おそらく2部リーグもオーナーの手出しがなくてもある程度運営ができるくらいになるだろうと言われている」(山形CEO)そうですが、2部にいる現在でもONODERA GROUPによって環境を整えるためハード面の投資が強力に推し進められ、天然芝グラウンドの整備とトレーニングセンター兼クラブハウスの建設を予定していると言います。それだけ、ONODERA GROUPはこのマルチクラブオーナーシップに対して本気だということです。

 

 

▼山形CEOとオリヴェイレンセとの関係

そもそもなぜオリヴェイレンセだったのか、ポルトガル2部リーグだったのか。という疑問は当然あるかと思いますので、以下に解説していきます。

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