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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「4連敗してしまった後には、キャプテンの喜田くんを中心に『鹿島戦はラストチャンスだぞ』とみんなで声をかけ合っていました。僕自身も本当にラストチャンスだと思っていました」[上島拓巳インタビュー(前編)]

【上島拓巳選手インタビュー(前編)】

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

 

圧倒的な空中戦能力で相手FWを迎撃し、ピンチの場面では全身を投げ出してゴールを守る。

怪我への耐性にも優れ、連戦でも頑強さを発揮する。

押しも押されもせぬ中心選手としてディフェンスラインに君臨しているのが背番号15上島拓巳だ。

だが本人に満足感は一切ない。

「現状としては試合に出ているだけになってしまっていると思っています」

センターバックのパフォーマンスは試合結果を大きく左右する。

これからも自分に厳しく、常にアップデートを図り、F・マリノスを支えていく。

チーム内で最も長くピッチに立っている男が2024年ここまでの戦いを振り返った。

 

 

 

 

鹿島戦は、僕自身にとって本当にラストチャンスだと思っていました

 

――プレシーズンキャンプ中に「今年1年間は中心選手としてプレーしたい」と目標を掲げていました。ここまでの自己評価はいかがでしょうか。

「ひとつの目安として出場時間を増やすことを目標にしていましたが、現状としては試合に出ているだけになってしまっていると思っています。チームの結果につながっていないですし、自分自身のパフォーマンスも求められる水準には達していない。それがリーグ戦の低迷やACLでタイトルを獲れなかった部分、それから監督交代といった状況につながっている。責任を感じていますし、ピッチに立ち続けている以上は自分の存在がチーム成績に影響を及ぼしていると思っているので、まったく満足していません」

 

 

 

 

――ここまでリーグ戦24試合中22試合に先発し、1980分のプレータイムはチーム1位です。立派な数字なのでは?

「リーグ戦だけでなく、カップ戦を含めたすべての公式戦で考えると、さらに長い時間プレーしていると思います。そこだけに関しては評価に値するのかな、と。怪我人が多い中で、常にテーブルに乗っている状態を継続できているのは自分の強みで、チームに貢献できている部分だと思っています」

 

 

 

 

――センターバックの選手がコンスタントに試合に出続ける意味は?

「どのポジションでもそうですが、本職の選手がいなくなってしまうと他の選手が代わりを務めなければならなくなります。その中でセンターバックは他のポジションと少し違った責任感が求められると思うので、サイドバックやボランチの選手がスポットで1~2試合はプレーできても継続してやるのは難しい。だからこそ本職の選手が試合に出続けることが大切だと思っています」

 

――リーグ戦では途中交代もありません。価値があるように思います。

「センターバックは最後までピッチに立っていなければいけないポジション。怪我は仕方ない部分もありますが、体力的なところでの交代は、まずありえない。ただ、交代の話で言うと天皇杯3回戦の水戸戦ではハーフタイムに交代を命じられました。あれは最初から決まっていた交代プランではありません。連戦の終盤でエドゥ(エドゥアルド)とプレータイムを分け合っていたように見えるかもしれませんが、僕自身は前半のパフォーマンスが不甲斐なかったから交代になったと受け止めています。メンタル的にもフィジカル的にもすごく難しい試合で、チームに迷惑をかけてしまいました。自分自身を奮い立たせて試合に臨んだつもりでも、反応や判断がすごく遅かった」

 

 

 

 

――中2~3日で戦う10連戦の終盤でした。心身ともに疲労が蓄積していたので仕方ない部分もあるのでは。

「久しぶりにこういったタイトな日程で試合に出続けて、チーム状況や個人のパフォーマンスも含めて、すごくきつかったのが本音です。悪い意味で試合が来るのが当たり前という感じになってしまって、試合に負けてしまうと心身ともに疲労が溜まっていく。精神的な部分でもリフレッシュするのが難しくて、それはチームメイトを見ていても感じるところがありました」

 

――頭のフレッシュさを保つのが難しい?

「試合に勝っていればポジティブに連戦を捉えることができたと思いますが、連敗している中で自分自身がうまくいかない状況が続くと、精神的に悪い流れを引きずってしまいます。オフの日はリフレッシュすることを心掛けていましたが、常に試合をしているような感覚になってしまう難しさがありました」

 

 

 

 

――そういった精神状態は、やはりパフォーマンスにも影響するものですか?

「自分でもなかなかパフォーマンスが上がっていかないのを感じていました。あとは失点した後やチームが苦しい時に、内から湧き出てくるエネルギーが少なくなっているのを感じました。コンディションがきついのは当たり前としても、精神的に強く居続けることが難しかった。その中でも毎試合、自分を奮い立たせてやっていたつもりです。結果として4連敗してしまった後には、キャプテンの喜田くんを中心に『鹿島戦はラストチャンスだぞ』とみんなで声をかけ合っていました。僕自身も本当にラストチャンスだと思っていました」

 

――上島選手にとって『ラストチャンス』という言葉の解釈は?

「チームの残留や降格といった意味ではなくて、僕個人としての解釈はこれからも試合に出続けていく選手になるためのラストチャンスと捉えていました。前半戦は怪我人が多い中で多くの試合に出させてもらっていたけれど、同じような失敗を繰り返してしまうと信頼度が下がってしまう。だから僕にとってのラストチャンスだな、と。特に、さっき話した水戸戦の次の試合だったので、挽回するパフォーマンスを見せなければいけませんでした。何とか1つ結果を出せて、ホッとしました」

 

 

 

 

まずは自分たちらしいスタイルを取り戻すことが先決

 

――鹿島戦後、ハリー・キューウェル監督の契約解除が発表されました。上島選手はどのように受け止めましたか?

「多くの選手と同じ考えなのですが、やはり監督個人だけの責任ではないと思っています。僕個人としては、カップ戦であれだけ勝ち上がっていけた部分に彼の勝負強さを感じていました。それから選手交代も独特の感性を持っている方だなと感じていました。最後は結果が出なかったけれど、彼はF・マリノスに新しい歴史を刻んだと思います。リーグ戦でうまく勝てなかったのは少なからず過密日程の影響もありますが、僕を含めた選手の責任もすごく大きかったと思います」

 

 

 

 

――新たにジョン・ハッチンソン監督が指揮を執り、横浜F・マリノスはどのように変わっていくでしょうか。

「ハリーはより個人戦術にフォーカスしている監督だなと感じていて、特にウイングやサイドバックの立ち位置をすごく細かく言っていました。それと比べるとジョンは全体をオーガナイズしていると感じるので、動きの量や質というところに違いが出てくるんじゃないかなと思います」

 

 

 

 

――その印象はヘッドコーチ時代から抱いていたのですか?

 

 

 

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