「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

監督 樋口靖洋 ロングインタビュー 第一回 「ウチの選手は休まない」 

【ロングインタビュー 第1回 】
監督 樋口 靖洋(横浜F・マリノス)

聞き手:藤井 雅彦 写真:星智徳

01 序盤戦を終えて、現在3位と好スタートを切った横浜F・マリノス。この中断期間には新潟県十日町で5泊6日のキャンプを実施し、さらなる強化を図った。また、5月下旬には26歳以下の選手だけで韓国遠征を行い、若手選手たちはそれぞれに刺激を受けて帰ってきた。

 これらを先頭に立って計画したのは、もちろ現場の責任者である樋口靖洋監督だ。数回に分けて掲載するインタビューの第1回のテーマは『中断期間』。どのような意図でオフ期間を設定し、キャンプを行ったのか。指揮官がスケジューリングの舞台裏を語ってくれた。(6月14日インタビュー)

ベテラン勢の意識が高い

02――もうすぐ新潟県十日町キャンプ終了となりますが、この中断期間の過ごし方はチームによってそれぞれだと思います。樋口監督はどのように捉えていますか?

「まず、Jリーグにとって久しぶりの中断期間なんじゃないかな? 僕が他チームの監督を務めているときも中断期間はなかったですから。1年の最初に今年のスケジュールを見たときから、この期間の過ごし方がとても重要と感じていました。シーズンのスタートからこの中断期間までにどの順位にいるか、どこまで勝ち点を伸ばしているかが大きなポイントになる、と。去年のような低空飛行のスタートでは僕がいなくなるというような状況も考えられた。そして、重要であると同時に非常に難しい期間だと思いました。幸いにしてとても良いスタートを切ることができたけど、だからこそ中断期間のスケジュールの組み方をしっかり考えないといけなかった。ナビスコカップで決勝トーナメントに勝ち残ることを前提に、休養とチーム力を積み上げるためのトレーニングのバランスをどのようにとるかをだいぶ考えましたね」

――序盤戦ラストとなった5月25日のサガン鳥栖戦以降のスケジュールを決めたのはどのタイミングなのですか?

「4月上旬くらいにはおおよそのスケジュールを決めました。その時点では2パターン考えていましたね。つまりナビスコカップで勝ち上がった場合と敗退した場合。どちらにしても韓国遠征は実施したかったので、それを計画してクラブに予算の部分をお願いしました。この韓国遠征については2月の宮崎キャンプの時点で、この中断期間にできたらやりたいという話をしていたんです。それと結果的にオフを10日間に設定したけど、ナビスコカップで敗退していたら少し伸ばして2週間にしていたかもしれない。さらにキャンプをどのタイミングでどれくらいの期間やるのか。ナビスコカップの予選の結果が分かってからキャンプ地を決められるわけではないので、それはどういう結果になってもいいように先に決めました」

――中断期間のスケジュールは序盤戦で良いスタートを切れたことも加味されているのですか?

「このスケジューリングにおいてはあまり関係ないですね。それよりも序盤戦最後の5連戦での疲労度を見て、このキャンプでのトレーニング内容や負荷を考える必要がありました」

――結果的にとても良い日程になったのではないですか?

「10日間のオフを挟んで、約20日間で最初の公式戦を迎えることになる。正直、最初はちょっと休みすぎかなと思ったんです。どうかなぁと思いつつも、ここは思い切ってリフレッシュさせないといけない、と。でもオフ明けの6月5日に集まったときの選手のフレッシュ感を見て、10日間休んで良かったと感じました」

――『休ませる』という決断は覚悟が必要だったのでは?

「たしかにそうですね。でもウチの選手は休まない(苦笑)。シュン(中村)やボンバー(中澤)も最近になってようやく休み方を覚えたんじゃないかな。普段からオフを与えて次に集まったときでもコンディションのバラつきは小さいですから。10日間オフを与えてリフレッシュさせて、もしかしたら最初のナビスコカップは7割くらいのコンディションかもしれないという覚悟の上で休ませました」

――キャンプでの仕上がりを見ていると、7割どころか…。

「うん、ここまでを見ているとコンディションさえ整えば週末に試合ができるくらい頭は整理されていますね」

下バナー

(残り 807文字/全文: 2529文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ