チーム作りが着実に進んでいるのは、扇原が「動きがめちゃくちゃキレていた」と絶賛した、ユン・イルロクのパフォーマンスを見れば明らか [J5節 清水戦レビュー]
決勝点は、前節・浦和レッズ戦と同じ山中亮輔→ウーゴ・ヴィエイラのラインから生まれた。山中の鋭く速いクロスはGK六反勇治とDFフレイレの両方が届かないギリギリのコースを通過し、出どころから距離を取るようにファーサイドへ走り込んで足を伸ばすウーゴだけが触れるボールだった。これで来日初のリーグ戦3試合連続得点となったストライカーは「(ボールが来ることは)分かっていた。ボールが来る、チャンスになるという匂いを感じられるプレーだった」と自画自賛だ。
シュートやクロス以前に勝負が決していたという見方もできる。ボランチの扇原貴宏が相手の背後を狙って得意のロングボールを送ると、トップスピードに乗った状態の山中はワンタッチ目で最高のレーンにボールを落として立田悠悟を一瞬で置き去りにし、完全にフリーの状態でクロスを送った。扇原が「ヤマのファーストタッチで決まったようなゴール」と賛辞を送れば、山中は「出来過ぎなくらいファーストタッチがうまくできた」と頬を緩ませた。
今季に入り、チームとしての戦い方は大きく変わったが、清水エスパルス戦のゴールシーンはエリク・モンバエルツ監督が指揮を執った昨季を彷彿とさせる。ゴールに関与した3選手がそれぞれの持ち味を存分に発揮した格好で、そこにはスタイルに影響されることのない普遍性がある。こんなに鮮やかに決まる場面はそうそう訪れないだろうが、だからこそお金を払う価値のある瞬間だった。
しかしながら試合全体を通してみると、少なからず課題を残したゲームでもある。ボランチの天野純と扇原は「自分たちでオープンな展開にし過ぎた」と同じような反省の弁を述べた。ビルドアップはまずまずの内容だったが、ハーフウェーラインを越えてからのスピードアップのタイミングと精度がいま一つ。フィニッシュの一つ前や二つ前のパスがズレたため、攻撃がノッキングしてしまった。前半3本、後半4本というシュート数に終わった要因だ。
ここに絡んでくるのが初先発したオリヴィエ・ブマルと大津祐樹のパフォーマンスである。
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