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林彰洋インタビューvol.1「木木の本懐~深まった青と赤の絆~」

 

 今季限りで青赤を去り、来季からベガルタ仙台に新天地を求めた。旅立ちの時を迎えた林彰洋はいま何を思うのか――。

 

 ピンチを救い、両手をたたいてチームメートを鼓舞する姿。絶え間なく続くコーチングの声。青赤のアグレッシブな守備は、最後尾の頼れる守護神が支えてきた。ときには言いにくいことも口にしてきた。それも、チームを一つにまとめるためだった。

 

 そんな林は2020年11月、ACLの大会直前の練習中に右膝前十字靱帯(じんたい)と外側半月板を損傷する大けがを負った。そこから始まる、知られざる2年に及んだけがとの戦い。林が青赤での6年間を振り返る。

 

◆必要だった選手同士のつながり

 

FC東京の選手としては最後のインタビューになるのかもしれません。6年間在籍しましたが、林選手にとってはキャリアで最も長く在籍したチームになりました。

「これが最後のインタビューでしょ(笑)。確かに、一番在籍したチームになりましたね」

 

―初めからハッキリとした物言いをする選手という印象でした。加入当初の東京にはどんな印象を持っていましたか?

「これまで東京の勝てなかった理由が、実際に中に入ってみて理解できたと思っています。それは技術面ではなく、選手の距離間やつながり、スタッフ間の連係といったところですね。僕が過去に在籍したクラブでも、上位争いをしたこともあれば、チームが崩れて下位に落ちるときもありました。上位にいたときに、共通していたのは選手同士のつながりがより強固だったということ。その感覚や、空気感が当時は足りなかったと思います。別に仲が悪いわけではなかったけど、選手同士でグループができてしまっていた。そういう意味では、勝てない典型的なチームだったと思います」

 

―そこからどう変わっていったのか?

「(髙萩)洋次郎君も感じていたと思うけど、ほかのチームから来た選手にとっては違和感があったと思います。そこは技術じゃない。選手たちのつながりが強ければ強いほど、こいつのために頑張ろうという気持ちが湧いてくる。でも、練習が終われば、各自のコミュニティーに帰るような雰囲気でした。勝つチームはそうじゃない。ファミリー感がないといけない。それがあるからこそ、チームとして成り立つ。一体感がないと、本質的な熱量をぶつけ合っても上辺だけになってしまう。たとえば在籍人数が30人だとして先発11人プラス7人がベンチに座る。残りの12人は試合に絡めない。そう考えると、30人全員が同じ方向を向くことが理想でも簡単ではありません。年間のリーグ戦を戦う上では最低でも25人が同じ方向を向けていないといけない。でも、少しずつ選手間での集まりも増えて、選手同士の距離間が縮まっていった。徐々に話す機会も多くなったことで、サッカーのことも普段の私生活のことでもしゃべる機会が増えていきました。もちろん人間だから仲が良い悪いはあるけど、いざチームとして向き合ったときはファミリーにならないといけない。なんかこのチームいいよねってならない、と」

 

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