「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

”戻ってきた”髙萩洋次郎の矜持「メンバーを外された、試合に出られない、となったときに逆に気持ちが沸いてくるんです。で、また気付かされるんです」【負けたくない】(23.9.20)

直近5試合ほどはベンチに髙萩洋次郎や矢野貴章が控え、チームに厚みをもたらしている。今季の前半戦を振り返れば、交代選手によってギアチェンジを果たすことがなかなかできずにいたが、夏補強もあり、この土壇場において、チームの幹が随分と太くなり、試合の終盤に畳みかけるような試合もできるようになっている。

髙萩や矢野については「戻ってきたな」とも感じる。シーズンを通してケガや不調の時期もありながら、メンバーに食らいつき、こういう大事な時期にしっかりと戻ってきたことに、選手としてタフさを感じずにはいられない。

 

▼仲間たちに認めてもらうために

――髙萩選手は今季、メンバー外になる時期もありつつ、また今こうしてピッチに戻ってきました。矢野選手もケガなどもありつつ、また戻ってきたというのが今だと思います。シーズンを通して良いときも悪いときもありながら、またメンバーとして戻って来るということが大事だと感じるんです。一方、なかなかメンバーに入れずに苦しんでいる選手たちがいるわけで、こういうときにプロとして大事な考え方が知りたいんです。髙萩選手や矢野選手を見ていると「戻ってきた」姿勢自体に強い意志のようなものを感じるのですが、そこにあるものを言葉にしたいんです。

「そうですねえ、なんて言えばいいのか。難しいなあ(十秒ほど考える)」

――……諦めたら試合終了、ですか?

「諦めるという感覚ではなくて、うーん(ここで十秒ほど考える)。まあでも、負けたくない、ですかね」

――負けたくない。何に対してですか?

「もちろん、他の選手たちはチームメイトですが、ライバルでもあり、同じポジションの選手とまったく同じ練習をしているわけで、そこで自分をいかにアピールするか、監督・コーチ、チームメイトに認めてもらうためにどうプレーするのか。年齢が上だとかベテランだとか、だけど頑張っている、走れている、と言われるかもしれないけど、このグラウンドに立っている以上、対等だし、平等なので、そこで負けたくないんです」

――髙萩選手の口から出ると新鮮ですね。負けたくない。

「試合に出られないのは悔しいし、メンバーに入れないのも悔しい。そういう内に秘めているものをエネルギーとしてプレーで表現する、発散する、ということだと思います」

――常日頃の練習から。

「そうです」

――今まで実績を残し、代表に行っている選手でも、矢野選手もそうですが、そういう気持ちが薄くなったら終わり。

「ここで戦えないと思います。選手それぞれ感情の表現の仕方は違うし、エネルギーの量は違うと思うので、みんなが同じようにはできないと思いますが、でも、外から見ているとその選手のエネルギーは、DAZNで見ていても、試合を生で見ていても『ああ、こいつこんなに頑張っているんだ』『こいつ悔しそうじゃん』『ボールを奪われたときに必死に戻っているじゃん』、そういう感情って、絶対に目に見えるじゃないですか。目に見えないものなのに目に見えるじゃないですか。そこがどれだけ伝わるのかどうかだと思っています」

(残り 1117文字/全文: 2372文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ