「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

昨季の殊勲、田代雅也ロングインタビュー「人が成長するのはピンチのときだと感じます。流れが悪いとき、不運が重なるときこそ真価が問われる」【過去記事ピックアップ】(20.4.19)

2019シーズンのベストショット(39節新潟戦、田代雅也の決勝ゴール)(撮影は永島一顕)

 

過去の記事からもう一度読んでおきたい記事をピックアップ。昨季の11月下旬、劇的なJ2残留を果たした直後に実施した田代雅也のインタビューをもう一度お届けしたい。本サイトの2019MVP投票では守護神ユ・ヒョンに次いで僅差の2位となった殊勲の男、そのほとばしる思いをプレイバック。

 

守護神ユ・ヒョンが
チームに与えたもの

――改めて、凄まじい逆転残留劇でした。

田代 色々な方々の思いの強さが引き寄せた最後だったと思います。どのチームも勝ちたい、昇格したい、残留したい、という強い思いがある中、栃木は残り10試合からメンバーが変わり、残り4試合の時点でさらに強い思いを持って、練習をして、週末の試合に挑む、という姿勢ができ上がっていったと思います。

――最後の4試合はさらに気持ちが強かった。

田代 残留圏の20位鹿児島とは勝点差が離れていて(勝点7差)、もう勝たないといけなかった状況もありますが、終盤戦はメンバーを固定して戦うなかで「お前らに残留を託したぞ」という監督のメッセージがこもっていたし、試合に出ている選手たちは実際にそう感じていました。試合に出る11人の繋がりは本当に凄かった。どの90分間も、守備の時間が長くなろうとも充実していました。試合を重ねるごとにチームのソリッドさが増し、絆が太くなっていくのを感じました。

――最後は選手同士でよく話すことが強調されていましたね。

田代 どれだけ隙を作らずに試合を終わらせるかだったので、練習からエラーになりそうなシーン、相手のミスで助かったシーンも絶対に有耶無耶にせず徹底的に潰していったんです。監督に頼らず、ピッチに立っている選手たちだけで解決策を見出そうと粘り強く話し合ったからこそ、最後の3試合は無失点で終われたのだと思います。

――守備陣では、ユ・ヒョン選手がケガで離脱し、出場した川田修正選手も活躍しました。

田代 僕はカワちゃんとは練習試合や紅白戦でずっと一緒にプレーしていたから、能力の高さはわかっていたし、僕自身、何も不安もなかった。最初の試合だけしっかり入ることができれば上手くいくと思っていたし、カワちゃんは流れをしっかり掴んだと思います。カワちゃんもそうでしたが、今年はヒョンさんがチーム全体に与えた影響が大きいと思いますね。

――ユ・ヒョン選手のどういう部分でしょう。

田代 カワちゃんの成長でいえば、前に出るタイミングやクロス対応はヒョンさんから学んだ技術だと思います。僕もヒョンさんと私生活を一緒にさせてもらう中で、色々と勉強させてもらうことがありました。

――ユ・ヒョン選手とよくご飯を食べに行っていたと聞いています。

田代 最初は韓国人選手が一人だったし、ヒョンさんが周りとコミュニケーションを取るのも難しそうだったし、キャンプの時点で凄いゴールキーパーだとわかっていたから、何か教えてもらえることはないかなと思って、一緒の時間を作ろうと思ったんです。そこからですね。子分のようにさせてもらったのは(笑)。

――二人で食事に?

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