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「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【大東京書簡】第十五信『8月17日』海江田(24.8.23)

第十五信 8月17日

■溜まっているマグマの量が違う

東京ダービーの朝、洗面台の前で鼻毛を抜いていた。今日は愉快痛快と高笑いすることになる。わかっていた。誰もおれの顔なんか間近で見ない。皆、ピッチに釘付けである。が、念には念を。そわそわして、何かしていないと気持ちが落ち着かなかった。

前回、第8節のダービーは黒のセットアップを着ていった。奴らの葬式である。場にふさわしい身だしなみというものがある。今年いっぱい、死んだような気分で過ごさせてやりたい。

夏真っ盛り、8月の西日は強い。上着は白のシャツにした。学生服みたいだ。おっさんの学ランはきついものがある。わが身ながら見るに堪えない。

あとになって、比喩的であってもこういうことはやめようと反省する出来事が起こるのだが、そのときのおれは知る由もなし。人知れずに行うコントみたいなもんだと思うことにし、こないだ配信で観た『bananaman live 2024 W』は面白かったなあと思い出していた。俳優座劇場のラストで現地にいきたかったが、どう考えても日程的に無理だった(そもそもプラチナチケットを引き当てられるかどうかさえわからないのだけど)。

サッカーにおいて勝ち負けはもちろん大事なのだが、そこまで頓着しないタチである。どだい、自分は勝ち数より負け数のほうが多い半生を歩み、そんな人間がたまたま縁のあったチームに勝利を強く要求するなどおこがましい。それよりスタジアムで味わう得体の知れない感情、唐突に引き込まれたり、浮き上がるような感覚に興味があった。

ただし、ダービーだけは別だ。勝たないことには何も言えない気持ちになる。

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