「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【大東京書簡】第三信『ウェルメイドなエンタメの対極に』海江田(24.2.29)

第三信 ウェルメイドなエンタメの対極に

■面白い三角形ができている

1月14日の新体制発表の場で、城福浩監督はクラブの規模を船の大きさに喩えた。

「われわれは昨年のJ2でも決して大きな船ではなかった。クラブの努力によって強化に使えるお金は増えていますが、J1において大きな船であるはずがありません。ただ、経営も強化も現場も同じ方向に向かって漕いでいる。自分たちの一番のストロングです」

これを聞いた、あるいは読んだ方々はどんな船をイメージしただろう。長距離フェリー? クルーズ客船? 漁船? おれはふむふむと頷きつつ、戦艦を思い浮かべていた。

子どもの頃、戦艦が好きだった。手先が不器用なくせにプラモデルづくりに熱中した。父方の祖父が江田島の海軍兵学校の出身で、帰省したときに戦争の話を聞かされた影響もあったかもしれない。

所詮は人を殺すための道具だと理解するようになっても、子ども心に抱いたうっとりする気持ちが消えるわけではなかった。第2次世界大戦、時代はとっくに戦闘機や潜水艦へと移り変わり、過去の遺物である戦艦は穴ぼこだらけにされて海底に沈められてゆく。その哀しさもまた心惹かれるものがあった。

2022年度のJクラブ個別情報開示資料を開く。チーム人件費がJ1でトップのヴィッセル神戸(約48億円)が「大和」「武蔵」クラスの巨大戦艦(基準排水量64,000トン)だとすれば、次の約30億円規模の鹿島アントラーズ、浦和レッズ、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスは「長門」(同39,000トン)あたりか。

でもって、その下のFC東京(約25億円)は「扶桑 」(同34,000トン)。それに迫る勢いのFC町田ゼルビアは「金剛」(同32,000トン)。今季、10億円に届くかどうか(推定)の東京ヴェルディは空母の「龍鳳」(同13,000トン)、重巡洋艦の「青葉」(同9,000トン)となる。なんか、うちだけ町中華やラーメン屋みたいだ。

どうだ、全然ピンとこないだろ!? こんなこと、めっちゃ調べてどうすんだ。

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