「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】東京Vインサイドレポート『グローバルの展望とローカルの課題』 (24.8.22)

海外戦略を語る、東京ヴェルディの中村考昭社長。

海外戦略を語る、東京ヴェルディの中村考昭社長。

東京ヴェルディが16年ぶりのJ1を戦う2024シーズン。城福浩監督に率いられるチームが奮闘を続ける一方、クラブを取り巻く環境はどのように変化、あるいは停滞しているのだろうか。グローバルとローカルの両面から今後の展望と現状の課題をレポートする。

■サッカークラブとして必然的な取り組み

今年、東京ヴェルディは5月29日にレアル・ソシエダと、7月28日にブライトン&ホーヴ・アルビオンとの国際親善試合を実施。7月23日にはレアル・ベティスとパートナーシップ契約の締結を発表した。

また、6月18日にシンガポール文化社会青年省の法定機関である『スポーツシンガポール』と覚書を締結し、シンガポールから2名の指導者をトップチームの研修コーチとして受け入れている。

こういった海外戦略はどのような考えに基づいて進められているのか。中村考昭社長はこう語る。

「経営が成長フェーズに入ってくるに従い、国内だけではなく海外との取り組みを加速させていきたい。ベレーザや育成組織を含めて、事業サイド、フットボールサイドの両面から広くアプローチを始めています。海外クラブとの親善試合については、ほかのクラブにも話が持ちかけられていて、判断はそれぞれにあると思いますが、ヴェルディとしては積極的にそのチャンスを獲りにいっている状況です」

視線を向けている先は、主にヨーロッパと東南アジア。前者はサッカークラブとして成長を実現していくためのアプローチで、後者は将来性豊かなマーケットとして可能性を見出している。

「必要か必要でないかを超えて、必然的な取り組みと捉えています。サッカーは最もグローバルなスポーツ。選手が海を越えて移籍していくなか、クラブがひとつの国や地域で閉ざして存在するのはあり得ない。大事なのは、この業界のボーダレスな環境においてどう振る舞っていくか。いまになって湧いてきた話ではなく、過去にもあったはずなんです。そこで、取り組むだけの余力の問題か、組織的な判断や志向の問題か、目の前をあった可能性を顕在化させていなかったと思います。いまのクラブはその必然的な活動を少しずつやれるようになってきたと言えるでしょうね」

僕が東京Vの海外戦略に関連して気になっていたのは、2022シーズンに加入したインドネシア代表のアルハンのことだった。アルハンは2年間でリーグ戦2試合、天皇杯2試合の出場に終わり、今季から韓国の水原FCに移籍している。インドネシアの若きスターを獲得した試みは何をもたらしたのか。クラブとしての総括を聞きたかった。

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