「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【マッチレポート】J2-3[H] ヴァンフォーレ甲府戦『かすかに匂って、消える』(23.3.6)

2023年3月5日(日)
J2第3節 東京ヴェルディ vs ヴァンフォーレ甲府
14:03キックオフ 味の素スタジアム
[入場者数]8,448人 [天候]曇、無風、気温12.4℃、湿度25%

東京V 0‐0 甲府
前半:0‐0
後半:0‐0
[得点]
なし
※A=アシスト、及び今季の通算数。東京Vのみカウント。

●東京Vスターティングメンバー
GK1   マテウス
DF6   宮原和也
DF16 山越康平
DF5   平智広
DF24 奈良輪雄太(80分 深澤)
MF18 バスケス・バイロン(59分 阪野)
MF8   齋藤功佑(80分 M・エンゲルス)
MF13 林尚輝(70分 加藤弘)
MF7   森田晃樹
MF4   梶川諒太(70分 北島)
FW29 河村慶人
(ベンチメンバー:GK21長沢祐弥。DF2深澤大輝。MF17加藤弘堅、20北島祐二、28楠大樹。FW11阪野豊史、14マリオ・エンゲルス)

監督 城福浩

試合データなど(東京ヴェルディ オフィシャルサイト)

■狙いとする攻撃の形は見えたが

およそ1ヵ月半前、時之栖での1次キャンプが始まり、まだ間もない頃だった。

午前練の前、身支度を整えた小倉勉ヘッドコーチが言った。「この時期、僕らは至福の時間って言うんですわ」。練習中に指示を飛ばす激しい口調とは打って変わり、やんわりした関西弁である。

日々、たっぷりある練習時間を使い、やりたいことを思う存分にできるからだろうか。

「そうやなくてね。まだ何も結果が出てないから」

小倉ヘッドコーチはからから笑い、グラウンドに向かった。

今季3戦目のヴァンフォーレ甲府戦を観ながら、そのときの短いやり取りが思い出された。勝ち負けがすべてを決める世界に生きる人ならではの諧謔である。

チームが勝つために、強くなるために、点を取るために、ゴールを守るために、コーチングスタッフはさまざまなトレーニングを考案し、実行する。選手たちはそれを信じて汗を流す。チームづくりとは、そうして薄紙を重ねるがごとく、骨格に肉付けをしていく作業だ。

練習は裏切らないとは言うけれど、どれほど内容の濃い時間を積んでも成果は約束されない。取り組みの正当性、価値を証明してくれるのは、結果だけだ。逆に言うと、望む結果をいつまでも手にできなければ、プロセスに疑念が生じることになる。

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