「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.34 生粋の守り人 ~GK21 上福元直人〈2〉~(19.4.10)

この人の活躍がなければ、いま頃どうなっていたか背筋が寒くなる。昨季から一度もポジションを明け渡すことなく、正ゴールキーパーを務める上福元直人。開幕からファインセーブを連発し、苦しい戦いの続く東京ヴェルディを支えてきた。
チームは毎試合のように押し込まれ、数多くのシュートを浴びるが、そんなことは問題にしない。これまで、慢心をできるだけ遠ざけ、常に上を目指すことで着実に力をつけてきた。むしろ、逆境こそが上福元のエネルギーだ。

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■気づいたら、ゴールマウスにいた

あまり簡単に人を信じるなよ――。

高校生の上福元直人に、そんな言葉を投げかけた人物がいた。当時、市立船橋高校で指導にあたっていた曽我光利GKコーチである。

「面と向かってではなく、僕の横で何気なく放たれた言葉なんです。どんな意味を込めて言ってくれたのか。サッカーというより、人生そのものを指しての言葉なのか。その頃の僕にはよくわかりませんでした。ただ、プロになってからも不思議と折に触れて思い出されるんですよね。曽我さんの、ぼそっと言ったひと言が」

上福元はふたりの姉と兄を持つ4人兄弟の末っ子として育った。3つ上の兄、俊哉はFリーグのフウガドールすみだに所属するフットサルプレーヤー(ポジションはピヴォ=FW)だ。

小1のとき、俊哉の後ろにくっついて北貝塚フットボールクラブでボールに触れ、気づいたときにはゴールマウスに立っていた。

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