「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【直前インフォメーション】天皇杯‐2 カターレ富山戦のポイント(18.6.6)

■徳島戦の景色を取り戻したい

柴崎には、目に焼きついて忘れられない景色がある。

2017年11月19日、J2最終節の味の素スタジアム。東京ヴェルディは徳島ヴォルティスを2-1で下し、柴崎は熱狂のど真ん中にいる気分を初めて味わった。それまで収容率の10%に満たない、寒々とした眺めに慣れきっていたせいもある。周囲に広がる歓喜の光景を見渡し、味スタってこんなふうになるんだと奇妙な感慨に耽った。

「徳島戦で見た景色、あの雰囲気に自分の力で持っていきたい。今回はそれをアピールできる、数少ないチャンスです。天皇杯はカテゴリーの下のチームが上を食ってやろうと向かってくるので簡単なゲームにはならない。また、富山はかなり激しくファイトしてくるチームだと聞いています。もっとも、それに負けていたら話にならないんでね」

天気予報は、雨。ピッチコンディション、特にボールのバウンドには神経を使うことになりそうだ。

「出番のない自分に、心のこもった声をかけてくれたサポーターが何人もいる。水曜のナイターで、しかも雨。条件は厳しいですけど、応援では相手を圧倒してくれるでしょう。心強い味方をバックにつけて戦える西が丘で、みんなの期待に応えたい」

試合会場に赴き、ウォームアップし、仲間を励まし、外から見ているだけでその日の仕事はおしまい。ひたすら準備に費やした柴崎の3ヵ月と少しを僕は思う。元いた場所に戻っただけと誰が思えようか。充実した時間を知ればこそ、口中に湧き上がる苦みがある。

同年11月26日、昇格プレーオフでアビスパ福岡に0-1で敗れたときから柴崎の時間は止まったままだ。その時計の針が再び動き出すゲームでもある。

 

※【直前インフォメーション】は、試合当日のキックオフ4時間前に更新します。スタジアムへ向かう電車のなかや、待ち時間のおともにどうぞ。

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