「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【新東京書簡】第四信『心機一転』後藤(2016/08/09)

新東京書簡

第四信 心機一転

海江田さんにも読者のみなさんにも申し訳ない。

前回、2週間以内に返信すると決めておきながら、監督人事をめぐってFC東京がえらい騒ぎになり、こちらに着手することができなかった。まあ言い訳なんだけど、で、そうすると、なぜいまようやく第四信が書けたかというところが問題だと思うので、ちょっとそこから説明しますね。

■戻ってきた日常

嵐のようなっていうのはまさにこのことを言うのだろうな、と多摩川クラシコ前後は思った。FC東京はJ1ファーストステージを9位で終えて、ACLと平行して戦っているチームとしてはギリ許容範囲かなという順位だったんだけど、それでもリーグ優勝を公言していた手前、ファン、サポーターの眼は厳しかったね。もう1敗も許されないという緊張感のなかで、セカンドステージ開幕戦、昨年までの指揮官マッシモ フィッカデンティ監督率いるサガン鳥栖にアディショナルタイムの連続失点で大逆転負け。ホーム開幕の第2節ではヴァンフォーレ甲府に勝って白星を挙げたものの、第3節もアビスパ福岡相手にまたもやアディショナルタイムの失点で逆転負け。つづく第4節では優勢に試合を進めながら柏レイソルにクリアミス? のようなかたちで決勝点をプレゼント。新東京書簡第三信からちょうど二週間後の7月23日に開催された第5節で川崎フロンターレに敗れてTHE ENDとなってしまった。翌24日は朝9時から小平グランドに張り込み、外部からも情報を収集しながらの取材と執筆で心身ともに疲弊した。公式に城福浩前監督解任が発表されたのは17時だった。

篠田善之新監督。練習場、スタジアムの空気を変えた。

篠田善之新監督。練習場、スタジアムの空気を変えた。

7月25日はオフだったので、26日、週明け最初のトレーニングの際に、篠田善之新監督の就任が発表された。このあとの二週間で空気が変わったね。でもいきなりではなかった。大事な初戦、7月30日にアウエーでおこなわれた対アルビレックス新潟戦にトップチームが勝利。これはよかったんだけど、翌日、U-23はホーム味の素フィールド西が丘でJ3のリーグ戦に臨み、ガイナーレ鳥取に負けてしまった。安間貴義コーチがトップチーム専任となってU-23を離れ、中村忠新U-23監督率いる“ミニラ東京”――選手や記者はチュウさんと呼ぶところ、ゴール裏は「ミニラ東京」を連呼していた――が、“闘将”柱谷哲二監督率いる鳥取と元ヴェルディ対決ということでも注目された一戦、中村監督は経験のある選手を後方やセンターに固めて、U-18の選手を前に出す4-1-2-3の布陣を敷いたんだけど、これが裏目に出てしまった。トップチームともU-18ともフォーメーションも役割もちがうから選手は困惑するし、特にトップの選手にとってはトップと同じポジションでの調整ができないからなおさらだった。この辺りは、体制が変わってまだそこに順応しきっていない、ねじれが出てしまったんじゃないかと思う。

そこで第二ラウンド。この週は若手ががんばった。

まず西が丘での準決勝と決勝を制してFC東京U-18がクラブユース選手権に優勝、

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