大宮花伝

新体制初勝利にアウェー今季初勝利。“サブ組”の意地が導いた“ダブル”【千葉戦/マッチレビュー】

▼「みんな気持ちが入っていた」

リーグ戦ではなかなか出場機会にめぐまれなかった選手たちを中心に勝利をつかんだことは今後へ好影響を与えそうだ。今季、公式戦2試合目となった三幸が胸の内を語る。

「ずっと耐えてやってきた選手たちが多く出場したなかで勝てた。僕たちは練習で(力を)見せられている自負を持って変わらずやってきた。それが僕たちの原動力というか、ここで全員が(リーグ戦メンバーを)ひっくり返してやるというチーム内競争も大事な要素。結果を出せていい意味で原崎監督を悩ませることができると思う」

また、ゴールマウスを守った南雄太にとっては385日ぶりの戦列復帰。昨年5月18日の岩手戦で右足アキレス腱を断裂し、長期にわたってリハビリに励んできた。「時間は掛かったがピッチに立てるレベルになんとか戻ってこられた。1年前は想像もできなかった」と南。今季公式戦4試合目の無失点勝利に貢献し、「チームのためにも良かった」と喜んだ。

さらに続ける。「みんな気持ちが入っていた。苦しい試合だったがうちの状況だと泥臭く勝つしかないと思っていたし、それが体現できてよかった。ポストに助けられる運もあったが、それを引き寄せたのはみんなだと思う。なんとか自分たちでこの流れを変えようという気持ちで、みんなが試合に臨んでいた。次のリーグ戦で勝たないと、今日の勝利も意味を持たなくなってしまうので、本当に藤枝戦が一番大事」

43歳の南は48歳の原崎監督にとっては同世代で「毎日、朝早く1番にクラブハウスにきてケアし、トレーニングも手を抜いたところなんて本当に見たことがない」と言う。「彼が与える影響はプレーもそうだが姿勢や発言はチームにとってかなり大きい力になってくれている。それも含めて0に抑えたというのはかなり感謝したい」。

普段の“サブ組”が公式戦12試合ぶりの勝利を導いた。彼らの活躍が“主力組”に緊張感を与えることにより、チームは活性化して底上げにもつながるだろう。もちろん、これ一試合だけでは現状を変えられない。浮上への第一歩になるかは自分たち次第で、まだまだ課題も多い。藤枝戦の重みも非常に増すが、プレッシャーを跳ねのけるか。真価を問う試合は続く。

Text by 松澤明美

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