「ゼルビアTimes」郡司聡

黒田剛監督「得点シーンにつながった形は、右のCK1本目でやろうと思っていた」+下平隆宏監督、中島裕希【大分トリニータ戦/試合後会見コメント+α】

■明治安田生命J2リーグ第10節
4月16日(日)14:00キックオフ
町田GIONスタジアム/6,215人
FC町田ゼルビア 3-1 大分トリニータ
【得点者】23分 荒木駿太、33分 荒木駿太、39分 エリキ 大分/76分 宇津元伸弥

2得点1アシストの荒木駿太と黒田剛監督

○黒田剛監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「チームとしては多くのけが人を抱えながら、試合に出られない選手たちの分も頑張ろうと、出場した選手たちが奮起してくれた結果でした。前半に関してはほぼプラン通りです。多少相手にボールを握られることは想定していましたが、肝心な中央をしっかりと抑えること、そして怖がらずに牽制や規制を加えることよりも、前からプレスにいって相手のミスを誘った形が功を奏しました。またCKやFKを数多く取れたことが、相手にダメージを与えることにつながったと思います。

後半に関しては3点差はあったので、できるだけ3-0で終わらせるプランを描いていましたが、やはり背の高い選手が入ってきたことで、逆サイドに振られる形も増えました。ただ最悪1点は取られても、2点、3点を取られることはないようにと、ハーフタイムに3バックへ切り替えるプランも伝えた中で後半を迎えた分だけ、そんなに慌てることもなく、ベクトルを合わせてチームとしてやるべきことを確認できたことは大きかったと思います。

総合的に見ると、首位攻防戦ですが、けが人も多く、非常に苦しい状況ではありました。ただその中で選手たちが奮起し、一致団結して戦うことによって、こういった結果をつかみ取れるという自信を持てたんじゃないかと思います。次節の甲府戦はある程度けが人が戻ってくることも想定されるため、またスタート時のFC町田ゼルビアに戻ることでリスタートを図っていくことになります」

 

–先ほど怖がらずにプレスを掛けるという話をされましたが、最初から出し切るプランだったのでしょうか。
「昨日までの練習の中で、相手のシャドーやボランチにボールが入ることをあまりにも怖がり過ぎて、前に行けない状況になりましたし、中央を締めることが優先されて、ボールに寄せられない場面が出てきたため、あまり良いイメージで練習を終えられてはいませんでした。あくまでもボールを取ることを優先しようと、試合前のミーティングで話しました。考え方を共有した上で、前からプレスを掛けていき、ボランチを背中で消しながらプレスを掛けていこうと、前からボールを奪う、もしくは相手のミスを誘うことを意図しました。恐れていても仕方がないから、前から行こうということを共有したスタートになりました。それが立ち上がりから良い循環を生んだかなと思います。

ミーティングで作った映像は大分の良い部分だけをチョイスし過ぎたことで、「大分はこんなにクオリティーが高かったのか…」と、臆病になったわけではないですが、規制することに重きを置く練習になっていたのを、町田の良さは前からのプレスですし、荒木駿太、エリキ、平河悠ら、速い選手たちが相手にプレスを掛けることは機能するだろうと想定した中で、朝のミーティングでやり方を少し共有したことが、良い方向に作用しました」

 

–セットプレーが一つの打開策になりました。
「大分さんもセットプレーからの得点が多いチームなので、その警戒をした上で、マークのつき方の確認もしてきましたが、われわれもセットプレーから1点を取ることを意図していました。約30年間、高校サッカーを指導する中で、ロングスローを含めて、セットプレーのトリックプレーはやってきたことです。難しい形でしたが、彼らのクオリティーならばできるというものをチョイスして、練習しました。それが先制点につながりましたし、きれいに決まったので、ビックリしました」

 

–準備してきたセットプレーを出すにしても、そのタイミングは重要かと思います。どのタイミングで使おうと準備されてきたのでしょうか。
「自分たちのプレッシングの強度が続いているうちに点を取りたいという欲はありました。得点シーンにつながった形は、右のCK1本目でやろうと思っていました。先発メンバーでトリックプレーは練習するので、先発メンバーが出ているうちにやらないと、やれるタイミングを失ってしまう可能性もあります。

われわれは1点を取ったら、堅守で勝ち切る1-0のプランを志向しているチームですし、前節の磐田戦で先制した後に1失点をしていることを含めて、キャンプで積み上げてきたこと、われわれがやるべきことをシンプルに見直してやろうと、無失点で終わることが一つのテーマではありましたが、1点を取られた分、反省材料を持ってミーティングをしたいと思います。ただ前半で3-0にしていたことは大きかったです」

 

–3試合連続失点という事実は、どう受け止めているのでしょうか。
「ここまでやるべきことを高いレベルでやれたという印象を持っていますが、失点までの流れの中でファウルがあったかなというシーンがあったことで、切り替えが少し遅くなりました。また身長の高い選手が1枚、2枚と入ってきた中でのサイドからの折り返しに対して、免疫をつけておけば、対応できたのかなと。今回のような失点シーンがあったことは、今後われわれが学習する材料として次につなげていきたいです」

 

–2得点1アシストの荒木駿太選手の評価を聞かせてください。
「チームの中ではラッキーボーイ的な存在として開幕から活躍していましたが、荒木は先発の選手が疲れてきた時間帯に使いたい駒の一つではあります。先発で使うことは、最終的にリスクはありますが、さすが小嶺忠敏先生の教え子であるように、12km以上走っていますし、運動量とバイタリティーを持って、先発から起用できることを前節の磐田戦で証明できました。エリキとの相性も良いので、2人の関係性を守りながら、堅実にプレーしてくれた成果です」

 

○下平隆宏監督
–まずは試合の総括をお願いいたします。
「この町田GIONスタジアムにたくさんの大分サポーターのみなさんや、サッカーファンが集ってくださったことに感謝を申し上げます。ただ大分のサポーターやわれわれの現場にとっては、痛い敗戦になりました。首位攻防戦ということで何が何でも勝ちたかったですが、勝ち点を取れなかったことが非常に残念です。

セットプレーは要注意をしていた中で、われわれの警戒の上を行くようなセットプレーから失点をしたことにより、そのショックがあったような前半の立ち上がりになりました。町田さんにとっては、勇気の出るゴールでしたし、われわれにとっては自信を失うようなゴールになりました。その失点によって、相手のプレスの圧力が強くなり、われわれのビルドアップが臆病になったのかなと思っています。2失点目はビルドアップのミス、3失点目はカウンターからやられてしまったことを含めて、町田さんがやりたいことを表現できたゲームとなってしまいました。

後半はシステムとメンバーを変更し、なんとか1点を返す、あわよくば同点、逆転を狙って後半に入りましたが、システムを変えたことで町田さんのプレスが弱くなったり、混乱している部分はあったと思います。少しわれわれが前進をして攻撃をする機会も増えましたし、その中で1点を取り、もっと得点につなげたかったですが、そこまでのパワーがなく、そこまでには至りませんでした。エリキ選手といった個の力が強い選手がいる町田さんは最後まで集中を切らさずに戦っていましたし、町田さんは強かったです。次の試合に向けては気持ちを切り替えて、ホームでの水戸戦に向けて頑張っていきたいと思います」

 

–アクシデントもあった中で準備をしていなかったシステムを採用し、柔軟性を試せたのでは。

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