「ゼルビアTimes」郡司聡

黒田剛監督「相手に決定打を作られていないことは、守備面を強化してきた成果」+伊藤彰監督、中島元彦【ベガルタ仙台戦/試合後会見コメント+α】

○黒田剛監督
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「キャンプから落とし込んできた守備の部分を発揮して、カウンター、あるいはクロスからチャンスを作ることをどれぐらい出せるか。そういったことを選手たちに促すようにしていました。サイドからはチャンスを作れましたし、決定機が4、5本あった中でそれが枠を捉えられなかったり、相手に当たることがありました。決め切るという課題に関しては、また次の1週間で取り組まないといけないということが見えてきました。ただ全般的に仙台さんのクロス攻撃や背後を突く形はほぼ阻止できていたかなと。相手に決定打を作られていないことは守備の面を強化してきた成果だと思います。流れの中で失点をせずに、勝ち点1を取れたことをポジティブに捉えて、次の群馬戦に臨みたいです」

 

ーープロデビュー戦を迎える上での心境はいかがでしたか。
「自分自身初めてのことだったので、どんなものなんだろうと思っていました。高校サッカーをずっとやってきたので、埼スタや国立の雰囲気とはどう違うのかなと、比較してみようと思っていましたが、やはり選手権とは相当違うなと。選手権も4万、5万人入ることもありますが、サポーターの熱量があることが最大の違いです。サポーターの皆様の想いがひしひしと伝わってきたので、これがプロの世界なんだと、改めて感じました。ただ特にそういう舞台が慣れていないわけではないので、自然体で今日を迎えられました」

 

ーー青森山田で披露していたロングスローの場面が何度かありましたが、それは町田に新たに植えつけたことなのでしょうか。
「武器の一つではありますし、そんなに回数は多くなかったですが、プロは身長の高い選手もいるので、なかなかうまくはいきませんでした。それを含めて、もう少し工夫をする必要があるかなと。ゴールを取るために一つの武器として活用することは、サッカーにとって重要なことなので、何回かトレーニングをして、試合に入りました」

 

ーーロングスローに関して、翁長聖選手がロングスローを投げていたのは、適性を踏まえてのことでしょうか。
「私が町田に来る前から、彼はロングスローを投げられると聞いてはいました。今まで投げてきたことを、うまく活用しただけです」

 

ーーチャンスの場面でミッチェル デューク選手にパスを当てて、そこから周りの選手が絡む形でチャンスを作れていました。狙いを聞かせて下さい。
「右の平河悠、左のエリキと彼らはスピードが速いです。ただもう少しシンプルに相手の背後に落としても良いのかなと思います。そう感じましたが、相手もうまく左右のサイドをスピードに乗せないように、守備でブロックしていたので、タイミングを合わせることは難しかったです。もっとシンプルに使えるとも思ったので、反省材料として改善していきたいです」

 

ーーチャンスを決めることはできなかったですが、今日の平河悠選手の評価は?
「J1のチーム相手にもやれていたので、やはりいけるなと思いました。一つのポイントとして、平河を有効活用することは考えていました。何度か抜け出す形がありましたし、今後も抜け出せる場面があった先で、ゴール前に入ってくる選手がデューク一人ではなかなかゴールには繋がりません。また反対サイドの選手が入ってくるような形を作れれば、ゴールの可能性は高まっていくと思います。トレーニングの中でもっと浸透させていきたいです」

 

ーー青森山田ではシュートを打たせない指導を徹底されていましたが、今日は結構シュートを打たれる場面がありました。この試合の点数はいかがでしょうか。
「引き分けなので、50点としておきましょう。相手のシュートと言っても、ミドルシュートが多かったです。ただゴールの枠をきっちりと捉えてくると怖さはありますが、20メートル、30メートルからの距離でも体を張って、ボールに寄せてシュートを打たせないことは1つの課題として残りました。ただボックスの中でシュートを打たれることがほとんどなかったので、良い形でのラインの押し上げとシュートブロックができたのではないかなと思います。無失点で終えられたことは1つのゲームプランでもあるので、評価してあげたいです」

 

ーー高校サッカーの試合ではジャージーの印象が強いですが、今日はジャケットを着たコーディネートになっています。コーディネートの狙いはありますか。
「高校の時とは変えようかなと思ったぐらいであまり深い意味はありません。きちっとスーツで指揮を執ることは避けたのですが、逆に中途半端な形になったかもしれません」

 

ーー他のコーチ陣との連携の手ごたえはいかがでしょうか。
「金明輝ヘッドコーチや山中真コーチは、Jリーグでも経験を積んできたコーチ陣ですから、一歩下がった形で見ることにより、守備ブロックの形成の状況などを把握しながら、ポイントを見てくれました。私はどちらかと言うと、個人にアプローチをしながら、指揮を執ったですが、それぞれがそれぞれの役割を果たすことで、全てのコーチ陣が良いリレーションシップの下、仕事をできるのかなと思います」

 

ーー個人へのアプローチという意味では、エリキ選手やデューク選手に指示を出される場面がありました。試合中の指示や戦術変更は高校年代とは違ったものになると思いますが、どんなことを意識されていますか。
「特に外国籍選手なので、どこまで通じているのか分かりませんが、通訳を通じてよりも、前に出て、片言の英語で話せば良いかなと出ていきました。デュークとエリキの距離が開いていたこと、またはデュークが競った後の背後をエリキが狙っていないシーンも結構見受けられたので、そのあたりのコンビネーションが成功する確率を上げてほしいと指示を出しました。デュークがエリキと英語でコミュニケーションを取れるということなので、通訳が一人しかベンチに入れないため、デュークを使ってエリキに話す機会もありました。理解はしていたようなので、それほど問題はなかったのかなと思います」

 

ーー外国籍選手とのコミュニケーションはプロの監督もご苦労されることですが、距離感の取り方など、向き合う上でどんなことを意識されていますか。
「トレーニングでやってきていることですし、キャンプを通じてコンセプトは落とし込んできています。またはトランジションの切り替えのスピードを0秒でやることなど、そういうことが少しずつ疲労によって疎かになることを共有していました。また飲水の際やハーフタイムでも通訳を通じて、徹底させるように指示は出しました」

 

ーー黒田監督が掲げる勝てるチームになるために、この試合で出た課題は何でしょうか。
「勝つイコール守れることだと思っています。今日の試合に関しては、守るための守備のゲームプランは大きくブレることなくやれました。その中で4度、5度と決定機があった中で点を取れなかったことは、日頃のトレーニングの中で少しずつ詰めていこうと思っています。そして1点、2点を取れるチームになっていくこと。加えて選手のスキルアップもそうですし、アタッキングエリアでどういう崩しが必要なのか。今日はサイドからの攻撃やデュークを起点として、周囲がボールを拾いながら攻める形は出てくるようになりました。そのあたりの精度をもっと上げていくことが、良い守備からの良い攻撃にも繋がっていくと思います。次の1週間でどれだけ改善できるか。失点をしなかった中でも、攻撃に関してはまた詰めていきます」

○伊藤彰監督(仙台)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずアウェイにもかかわらず、多くのファン、サポーターの皆様に来ていただいたことに大変感謝しています。その中で勝ち点3をプレゼントできなかったことは残念ですが、アウェイでも勝ち点1を持ち帰れることをポジティブに捉えていきたいと思います。試合内容に関しては、相手がワイドに選手を配置し、グラウンドを広く使いながら前線の選手を生かす形を作ってきました。前向きな状況を作ってサイドの選手を生かそうと狙ってくることは、われわれとしても想定していた中で、予想以上にミッチェル・デューク選手やエリキ選手のパワーに戸惑う場面がありました。

ただ前半の途中からは慣れ始めた中で、セカンドボールを取れるかどうかがポイントになっていたと思います。試合はお互いにとって危ない場面があり、チャンスもあり、お互いに勝ち点1を拾ったというか、分け合う形になりました。お互いに開幕戦で勝ち点を失うよりも、ポジティブな結果だったと思っています。ハーフタイムにはもう少しボールを保持しようと、攻撃のオーガナイズの部分を変えました。その中で立ち上がりに攻勢になった時に、あそこで点を取れるかどうかが頂点に立つためには必要なことです。また点を取った後、守れるかどうか。その力をつけていかないと。

混戦のJ2を勝ち抜くには、決めるべき場面で決め切ることがキーファクターになります。仙台は長い期間のキャンプを経て、シーズンに入るというメリットとデメリットの部分がありますが、選手たちは最後の最後まで体を張ってくれましたし、最後までゴールを脅かそうと頑張ってくれたことに感謝したいと思います。本当に、良い選手たちだと思います」

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