「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開・特別寄稿】夢のJ1へーー。いま、僕たちにできること

▼2010年の記憶

振り返れば2010年、町田はJFLで4位以内という成績面のJリーグ参入条件と平均観客動員数の条件面を満たしながらも、スタジアム整備の問題でJリーグ参入を断念せざるを得なかった経験がある。その事実が発表されたあと、チームは天皇杯2回戦で当時J2の東京ヴェルディを破り、3回戦ではJ1のアルビレックス新潟を1-2まで追い詰めた。新潟戦で敗戦を告げるホイッスルがスタジアムに鳴り響くと、当時のエース・木島良輔はピッチを何度も叩いて、敗戦の悔しさを露わにしていた。

「天皇杯に勝ち進むことで、世間の注目を浴びて『なんで町田はJリーグに上がれないんだ?』という流れを作って、ミラクルを起こそうと考えていたんだけど、それもできなくなった」

新潟戦後に残した木島良輔のコメントは、第8節・V・ファーレン長崎戦で決勝点を決めた中島裕希が話した「自分たちが良い順位を残すことでいまの環境を変えていきたいという思いもある」という言葉と重なる部分が多い。キャリアが短いサッカー選手は1年1年がまさに勝負。“また来年、チャレンジできれば……”と悠長なことは言えない。目の前にさらなる高みのステージへ行く可能性(J1昇格の可能性)があるのならば、それをつかみ取ろうとするのは、選手の本能だろう。

2010年は既成事実に抗う格好となったが、今回は幸いにも、まだ時間がある。あきらめるのは、まだ早い。夢物語である“J2昇格即J1昇格”へーー。ゼルビアを愛するファン・サポーターにいまできることは、きっとある。

Text by 郡司 聡(Satoshi GUNJI)
Photo by ©FC町田ゼルビア

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