「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開・特別寄稿】夢のJ1へーー。いま、僕たちにできること

▼J2首位を走るチームの頼もしき姿

前節、敵地でのファジアーノ岡山戦は、2度のリードを許す苦しい展開だった。開始早々の5分にスローインの展開から先制点を奪われ、31分に相手のパスミスを狡猾に突いたカウンターで追い付く。しかし、1-1で迎えた38分。片山瑛一のロングスローから元日本代表DF岩政大樹による打点の高いヘディングシュートが決まり、再び勝ち越されてしまった。

警戒していたロングスローから勝ち越し点を決められた上に、今季初の複数失点。FC町田ゼルビアにとっては、ダメージが残る試合展開となったが、チームはまったく動じる気配もなく、59分に再び追い付くしぶとさを披露した。

しかし、町田の抵抗はタイスコアに持ち込んだだけにとどまらない。2-2となったあとも何度かカウンターで相手ゴールへと迫り、「勝ち点3を取れそうな状況にまで持ち込んだ」(相馬直樹監督)ことが評価できる岡山戦となった。

「J1昇格を本気で狙っている」(谷澤達也)岡山に対して、敵地でしぶとく勝ち点1をもぎ取る。同日、2位・セレッソ大阪が敗れたことで首位の座を2節連続でつかみ取ることに成功したチームの姿は、実に頼もしかった。コンパクトな3ラインを基軸に強固なブロックを築き、奪ったボールを素早い攻守転換でフィニッシュまで持ち込む。目下、リーグ最少失点タイ(暫定)で首位に立つなど、今季のJ2を席巻しているゼルビアに対して、さらなる高みのステージで挑戦してほしいという思いを抱く“ゼルビア・ピープル”は、一人や二人ではないはずだ。

しかし、現状はJ2ライセンスを所有する町田がJ1行きの資格を得ることは簡単ではない。まず、J1昇格の条件となるJ1ライセンスを取得するには、安定したクラブ経営と並行して、日本のトップリーグにふさわしいハード面の整備が必須事項となっている。

クラブの現況と照らし合わせると、主なハードルは、練習場を完備したクラブハウスと1万5000人収容のホームスタジアム。“野津田”こと町田市立陸上競技場の収容人員は、10,328人とJ1規定を満たしておらず、日々のトレーニング場である小野路グラウンドは、町田市所有の施設で自前のクラブハウスではない。現状のゼルビアが置かれた環境では、J1ライセンス取得の申請すらできない状況にある。チーム・選手が上位をキープし、成績面の条件はJ1昇格のチャンスをつかんでいたとしても、このままではJ1ライセンス取得という壁に阻まれてしまう可能性が高い。

次のページ

1 2 3
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ