J3番記者座談会LIVE(J論)【4/17(木)21時】

デイリーホーリーホック

【無料記事】スタジアム建設計画に関する囲み取材 小島耕社長コメント「水戸市に限定せず、15市町村で候補地を選定していく。既存施設の改修案も視野に入れていく」【ニュース】【2025年1月31日記事再掲】

【写真 米村優子】

「まず、クラブとして2024シーズンは15位という結果で終わって、前年の17位に続いて、かなり苦しいシーズンでした。とはいえ、クラブとしての経営は総売上12億円を超えて、過去最高の売上を記録しました。入場者数もコロナ前の水準には戻っていないのですが、入場料収入は過去最高だったり、広告料収入が過去最高だったり、堅調にクラブの経営は進んでいる状況であります。

2019年に私の前任の沼田(邦郎)が新しいスタジアム計画を立ち上げた後、どういう進捗状況なのか、みなさんに日々ご取材いただいているのですが、その状況を報告したいと思います。

今年度中に新スタジアムの候補地を発表しますと、みなさんにお話をしていました。しかし、現在の進捗および概況を説明しますと、結論としては、新スタジアムの具体的な進展や計画の確定には至ってないというのが正直なところです。計画通りに進んでいないことは、多くのステークホルダーやファン・サポーターのみなさんに対して、私の責任を強く感じるところですし、力不足を感じております。

一方で水戸市以外のホームタウン15市町村での候補地の選定や既存施設の改修案などを提案することも視野に入れています。クラブの経営視点では、堅調に推移をしているわけですが、この夏で社長に就任して5年になります。常に売り上げの向上、クラブの経営規模の拡大ということを軸にチーム強化をしてまいりましたが、厳しいJ2リーグの戦いの中で順位が安定しない状況にあります。その中で我々としては新しいスタジアムを手に入れて、クラブ経営を安定させることが目標です。アカデミー専用の施設はこの3月に完成しますけど、クラブの環境においては道半ばだと思っております。引き続きの投資を行っていく中でスタジアム計画を前に進めていきたいと思っております。

その中で我々としては今後どういった形でスタジアム建設を進めていくかというと、水戸市に限定せず、ホームタウン15市町の行政およびパートナー企業とも協議を進めている段階です。建設費用や建設後の運営費に関して、公的資金や税金にすべてを頼ることなく、地域行政課題とスタジアム建設がどのように相互補完できるかということをしっかりと検討を進めてまいりたいと思っております。

近年、各地域で新設スタジアムがどんどん出来上がっております。その中で昨今の物価高の影響もあり、建設費は150~200億円を想定しています。スタジアム建設の投資が地域の経済合理性や建設後の運営維持費が投資に対して見合うのかという議論も進めていきたいと思っております。

新スタジアム計画を白紙にするということではありません。このあたりはみなさんに報道を通して、多くの方に伝えてもらいたいと思います。

我々は昨年30周年で、今年31年目なのですが、50年、100年とクラブが続いていく中で新しいスタジアムづくりは必ず必要であると思っています。その中で一番必要なのはこの地域において、水戸ホーリーホックに新しいスタジアムを与えることが必要じゃないかという機運の醸成だと思っています。たとえばで恐縮ですが、ファジアーノ岡山さんは我々と同じ、特定の責任企業を持たない地方の市民クラブですけど、昨年J1昇格を果たしました。彼らはスタジアムの建設の計画に苦しんでいたと思います。けれども、今回J1に昇格し、多くのアウェイサポーターをお迎えする、より多くのホームサポーターをお迎えするということになって、スタジアム建設の機運が一気に高まったという報道をみなさんもご覧になったと思います。我々も2019年はそうだったと思います。7位という結果でしたし、シーズン序盤はずっと上位を走っていました。このままではライセンス上、来年のスタジアムはどうするんだという議論が起きました。その中で新しいスタジアム建設を我々は出しました。まず、一番大事なことはこの地域にスタジアムの建設の機運を醸成させることだと思っています」

【写真 米村優子】

質疑応答Q.今年度中に建設候補地の発表はないということでしょうか?「そうですね」

Q.当初なら28年度に完成という予定となっていましたが。
「それも一旦見直しとなります。ただ、我々も動きを止めているわけではないので、この動きが早まることがあるかもしれませんが、現実的には難しいと思っています」

Q.昨年4月、建設候補地を水戸市と協議して、複数に絞り込んだという話がありましたが。
「そこはまだ生きてはいます。とはいえ、水戸市だけに限らず、候補地を探す必要があるんじゃないかという状況です。分かりやすく言うと、土地の確保の問題やその先の建設費の問題とかを鑑みた時に候補地を広げた方がいいという考えです」

Q.予定地の選定がスタジアム建設の第一歩になると思いますが、そのハードルは何なのでしょうか?
「分かりやすく言うと、土地の確保ですね。確保の仕方だと思います」

Q.他の市町村にも視野を広げるということは、完成を急いでいるということでしょうか?
「完成を急ぐというより、当然のことながら、機運の醸成が必要と言いましたが、突然機運が高まる場合もあろうかと思います。私もこの後の葵会で『J1目指して頑張る』という挨拶をさせていただきますが、今のスタジアムでは限定的なライセンスになりますので、そういった場合においても、プランAだけでなく、プランBやCの策定も必要な段階にきていると思っています」

Q.現状の予定ですと、28年の完成とありましたが、いつまでに完成させたいというお考えでしょうか?
「ここで何年というと、その言葉が走ってしまうので、避けたいと思います」

Q.昨年4月の段階で「民設民営」ではなく、「公設」へ舵を切ったと受け取ったのですが、そのベースは変わらない?
「冒頭で言い忘れましたが、民設民営は明らかに厳しいと思います。ここだけは伝えておきます。とはいえ、すべてを税金に頼ることも考えていません。それ以外のやり方もあると思っています。税金だけに頼ってスタジアムを作ろうという考えではありません」

Q.クラウドファンディングも想定していますか?
「そうですね。でも、クラウドファンディングで150~200億円を集めるのは大変だと思います」

Q.建設費はどのような試算をしたのでしょうか?
「我々の方でいろんな試算をしました。2019年時点では100億円ぐらいじゃないかという試算を出していましたが、現状で試算すると、150~200億円ぐらいになるんじゃないかと。当然、スペックはいろいろありますけど、それぐらいなってくると思います」

Q.協力してくれるコンサル企業などはあるのでしょうか?
「それは当然0ではありませんが、ここでお名前を申し上げることはできません」

Q.クラウドファンディングに頼ることは考えていますか?
「いざとなった時にはいろんな方法で、ファン・サポーターなどでご協力したいという方がたくさんいらっしゃると思うので、それも一つの方法として考えてはいますが、クラウドファンディングという言葉が正解かどうかは分からないです。個人協賛みたいな形になるかもしれません」

Q.現状で目指しているスタジアム像は?
「今年予定されているホームゲームの数は20ですから、20日間しか使わない場所であっては困るわけです。残りの300日以上をどうやって活用したらいいのか。我々が活用するだけでは難しいと思うので、地域課題と連動したり、社会課題と連動したりするスタジアムがこれからの目指すべきスタジアムの姿だと思います。僕らは3年前にホームタウンを15市町村に広げ、ホームタウン人口が105万人になったとお伝えしたのですが、おそらく今は102万人ぐらいなんですよね。15市町村のままでは、5年後、10年後にスタジアムが完成した時、90万人ぐらいになってしまっているかもしれない。そういう中で僕らはスタジアムをサスティナブルな場所にしないといけないと思っていますから、場合によっては、この言葉だけが歩かれると困るのですが、サッカー専用である必要があるのかということも含めて議論をしていかないといけない。既存の施設がある中で改修する案はないのかとか、そういう幅広い議論をしていかないと、日本のスタジアム建設に関して、一石を投じていけないのではないかと思っています。個人としてはサッカー専用スタジアムが欲しいですし、ハイスペックなスタジアムが欲しいとは思います。ただ、それが水戸ホーリーホックのクラブだけのエゴでは、この地域に喜ばれない時代になってきているように感じています。スタジアムを作って、経済に貢献できるか、それを維持していくことや30~50年後にあのスタジアムを作って良かったと言われるクラブになれるのかという議論をみんなでしていかないと、後々の社会に迷惑をかけることになると僕は思っています」

Q.候補地は何を重視して決めるのでしょうか?
「アクセスもそうですし、使い道によって、アクセスだけでない重要視すべき点があると思っています」

Q.現状のスタジアムだとJ1には行けないということで、ケーズデンキスタジアム水戸の改修も含めて検討するのでしょうか?
「Ksスタは私たちのものではないので、具体性はないのですが、当然既存施設の改修ということはKsスタだけでなく、たくさん競技場がありますから、可能性がある場所を探っていきたいと思っております」

Q.機運の醸成が必要とのことですが、15市町村の自治体の方からスタジアムの誘致があるのでしょうか?
「それは答えにくいですね(苦笑)。公式・非公式でいろんな話はありますが、まだ前に進める段階ではありません」

Q.既存の施設の中に笠松は入りますか?
「15市町村の中に競技場はたくさんありますから、その中の1つとして考えられると思います」

Q.水戸市に限らず、15市町村の中で候補地を探すということが今回の会見の大きな発表だと思います。
「15市町村というより、県および15市町村という言い方の方が正しいですね」

Q.社長としては、それは一歩後退でしょうか? それとも、一歩前進と捉えていますか?
「一歩前進していると思います。僕らとしては、まったく進んでいない状況ではないんです。とはいえ、2019年に民設民営という伝え方をしたところからはじまって、進めてみたところ、民設民営は相当大変だということが分かりました。よほど大きな風が起きないと大変だぞと。12億円の会社が150億円のファイナンスをすることは現実的ではないですよね。そこは現実をしっかり分かっていただきたいですし、民設民営は簡単じゃないということを伝えておきたいと思います。3月に完成するアカデミー拠点の総工費は3億円です。この3億円でさえ、集めるのが大変です。それは実際にやってみて分かったことです。スタジアム建設は簡単ではありません。我々が作ったところでみなさんに使ってもらえる場所になるのかということも含めて、本当に考えていかないといけない。何度も言いますけど、サッカー専用スタジアムが理想です。でも、現実の社会状況と照らし合わせて、みなさんと議論しないといけないと思っています。そして、そういったことを現在、自治体のみなさんやパートナー企業のみなさんと議論しているところです」

Q.機運という意味ではチームの成績は大きい?
「間違いないです。ホーリーホックがなくなったら困るという人やホーリーホックのために一肌脱ごうという人が増えれば、必ず近づくと思っています。各地域でそういったものを見ています。岡山さんや山形さんはチームの成績が安定して、次のステップに行こうとなった時にそういう議論が巻き起こっています。チームの結果が良くないと、『ホーリーホックのために』という思いを持つ人は増えないと思うんですよ。そこは強く感じています。19年から20年の開幕にかけて、『スタジアム建てようよ』という声をたくさんかけていただきました。『お金を出すよ』と言ってくれる人もたくさんいました。でも、コロナ禍になって、2年間低迷して、難しい状況になってしまいました。だからこそ、もう一度機運を醸成するところからスタートしたいと思っています。なので、明日の記事の見出しには『ホーリーホック、スタジアム建設に意欲』と書いてください!」

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