【サッカー人気1位】勝ち点1を拾った感のある試合、相手次第の割合が大きいピーキ…

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【コラム】データで考える……2024シーズン前半戦を振り返る(前編)

 

6月8日の第19節・アウェイ徳島戦をもって、横浜FCの2024年J2リーグ前半戦が終わりました。

すでに15日の第20節・アウェイ藤枝戦から後半戦が始まり、3-1で快勝。チームは目標である自動昇格へ向けて上々の折り返しでスタートしましたが、先週は天皇杯3回戦があって時間が取れなかったことと、まだFOOTBALL LABの前半戦のデータが出そろっていなかったため、このタイミングにはなりましたがデータから前半戦を振り返ってみたいと思います。

四方田修平監督が就任して3年目で再びJ1昇格を目指す今季と、就任初年度で前回昇格した22年、そして現在のサッカーのベースとなっている昨季の3バック変更後を比較して見えてくるものは? 皆さんにもいろいろ考察していただければ幸いです。

 

▼1試合平均失点『0.6』

まずは2022年(42試合)、2023年の3バック変更後(第11節以降の24試合)、そして今季(19試合)の得点数、失点数、獲得勝点を見てみましょう。試合数が異なるため、すべて1試合平均の数字です。

2022 2023(3B後) 2024前半
平均得点 1.6 1 1.4
平均失点 1.2 1.3 0.6
平均勝点 1.9 1.1 1.9
警告数 1.1 1.6 1.3

 

22年の11月に書いたコラム『データで考える……J1の恐ろしさとは?』では、過去のデータの平均として「J2から昇格した予算の潤沢でないチームは翌年J1で、1試合平均の得点は0.6減り、失点は0.6増える」と書きました。得点についてはまさにその通りとなりましたが、守備は3バック変更後にものすごく頑張ったので0.1増えるにとどめました。昨季シーズンの最初からこの数字を残せていれば、見ていて面白いかどうかは別として、最下位の1チームしか降格しない規定であれば残留は十分可能だったでしょう……。

さて今季の数字ですが、やはりリーグ最少の1試合平均0.6(0.58)失点が圧倒的です。やはり昨季のJ1を平均失点『1.3』で戦ったベースが効いていることは間違いありません。警告数が増えているのは、昨季J1で戦った守備の強度の高さを反映している部分もありそうです。攻撃は0.4増にとどまっていますが、そこは守備にリソースを多く割いているからでもあり、平均得点と平均失点の差が『+0.8』であれば攻撃と守備のバランスが悪いというレベルではないと思います。平均得点がもう『0.2』(約4得点ぶん)多くて差が『+1』あれば理想ではありますが、そこは夏の補強、ミシェル・リマの活躍に期待というところでしょうか。

ちなみに最少失点のJ2記録は2000年の札幌の『0.55』(22失点/40試合)。2位が2011年のFC東京『0.58』(22失点/38試合)、3位が2014年の湘南『0.60』(25失点/42試合)、4位が2006年の横浜FC『0.67』(32失点/48試合)と続き、それらは全チームが昇格しています。

 

▼“全員守備”による堅守

次に試合の内訳から、無失点試合と無得点試合、複数得点差での勝利と複数失点差での負けがどれくらいあるかを見てみます。これらも試合数が違うので、パーセンテージで表します(カッコ内は実数)。

2022 2023(3B後) 2024前半
無失点試合 31.0%(13) 25.0%(6) 52.6%(10)
無得点試合 16.7%(7) 33.3%(8) 26.3%(5)
複数得点差勝利 9.5%(4) 12.5%(3) 36.8%(7)
複数得点差負け 7.1%(3) 20.8%(5) 0.0%

堅守を強みに、今季は無失点試合が実に半数を超えています。もちろん無得点試合も増えてはいますが、実数で言えば22年は7試合、今季は現在5試合なので、単純に倍にしても10試合ならそれほど大きな差とは言えないでしょう。複数得点勝利の多さ、複数得点差負けはゼロ、これが得失点差にも効いてきます。22年は得点が多くても失点も多かったため、勝点・順位の割に得失点差が稼げず、終盤に岡山から追い上げられた際にヒヤヒヤさせられました。やはり守備が堅いというのは素晴らしい。

 

またFOOTBALL LAB独自のデータ指標で『AGI』と『KAGI』というものがあります。これとシュート数、被シュート数を順位で見てみましょう。AGI(Approach Goal Index)は「攻撃の際にどれだけ相手ゴールに近づけたか」を数値化したもので、「攻撃時間のうち相手ゴールに近い位置でボールを持っていた時間の割合が高い」「攻撃が始まってから敵陣ペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が短い」場合に高い評価となります。KAGI(Keep Away from Goal Index)は「守備の際にどれだけ相手を前進させなかったか、相手を自陣ゴールに近づけなかったか」を数値化したもので、「相手の攻撃時間のうち自陣ゴールから遠い位置でボールを持っていた時間の割合が高い」「相手の攻撃が始まってから自陣ペナルティエリアまで到達するのにかかった時間が長い」場合に高い評価となります(23年についてはAGIとKAGIはシーズン通算、シュート数と被シュート数は3バック変更後24試合の数字で順位不明です)。

2022 2023(3B後) 2024前半
AGI 17位(46.9) 12位(49.5) 6位(55.5)
シュート数 8位(12.5) 11.0 3位(14.3)
KAGI 10位(49.9) 6位(49.5) 1位(58.3)
被シュート数 15位(12.8) 14.2 1位(9.1)

これによると、今季のKAGIはリーグトップの評価を得ています。つまり、単にゴール前で守備陣が体を張って防げているから失点が少ないわけではなくて、前線からしっかりプレッシャーをかけてチーム全体として良い守備ができていて、それがリーグ最少の被シュート数、さらにはリーグ最少失点につながっていることが分かります。それだけ前線の選手も守備に貢献しているためにどうしても得点力が削られているわけですが、それでもAGIは6位ですから、やはりバランスとしては悪くないと言えるでしょう。

 

 

▼ボール奪取位置に見る進化

さらにDAZNのデータで、ハーフタイムや試合終了後に紹介される『ボール奪取位置比較』のデータを見てみます。このデータが紹介されるようになったのは昨年からなので、22年と比べられないのが残念ですが、J1とJ2の差、あるいは今季の進化を知ることはできるでしょう。

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