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【VSロアッソ熊本】天皇杯は16強で敗退 クラモフスキー監督は「何か難しいことがあっても成功して振り返るようにしたい」と前だけを向く【無料公開】

 

2日 天皇杯4回戦 ロアッソ熊本 2-0 FC東京(えがお健康スタジアム)

 

 試合前日の選手とスタッフが乗るはずの飛行機が欠航となり、一端福岡まで空路で迂回。そこから陸路での移動で熊本入りを余儀なくされた。だが、ピーター・クラモフスキー監督は「移動で少し苦しくなったけど、それについて言いたいことはないです」と言い、それを負けた理由にはしなかった。

 

「私の経験上、カップ戦ではいろんなことが起きます。何かを達成するためには何かの物語があって、障害が途中にあるモノです。何か難しいことがあったとしても成功して振り返るようにしていきたい。これで敗退になったので、もうそれを語ることはできません。これから学ばないといけないことをしっかりと学んで、いまある痛み、残念な気持ちをはね返していかないといけません。いま、みんなが痛みを持っていると思いますが、これでみんなが強くなっていけると思います」

 

 試合は開始3分に、敵陣からのクリアボールに前重心のエンリケトレビザンが熊本FW伊東俊に入れ替わられると、カバーも間に合わず。そのまま背後に抜け出され、エリア内でGK野沢大志ブランドンが倒してしまい、PKを献上。これを古巣戦で燃えていたMF平川怜に決められ、先制点を許してしまう。

 

 それで勢いづいた熊本のマンツーマン気味のプレスにはまり、前半はそこを打開することができずに防戦一方となった。だが、野沢が好セーブを連発し、01で試合を折り返した。

 

 

 反撃に出たい後半だったが、同9分に渡辺凌磨のパスを奪った松岡瑠夢がスピードに乗ったドリブルでエンリケトレビザンを突破。そのままゴールも射抜かれ、アカデミー卒のプロ3年目に出鼻をくじかれる追加点を奪われてしまう。

 

 その後、野沢零温らが途中出場した終盤は徐々に背後への飛び出しが増え、熊本のプレスを裏返す解決策を見いだすこともできていた。

 

 

 しかし、決定機はつくったものの、ゴールだけが遠かった。クラモフスキー監督は「相手も非常にいいプレスできていた。その中でプレッシャーを外すことをできていた部分もあったし、できなかった部分もある。試合が進むにつれて自分たちのリズムを取り戻し、相手をこじ開けながらプレーもできていた。良かったのは、選手たちが解決法をしっかりと導き出していたところ」と振り返る。

 

 これで今季の天皇杯は16強で敗退が決定。ACLへとつながる現実的なルートは閉ざされ、今後はリーグ戦での失地回復に懸かっている。指揮官は「痛み」と表現し、こう言葉にする。

 

「どの試合もそうですが、あの試合に勝つために選手たちは全て出し切って戦ってくれた。痛みと言ったのは、選手たちが最大限を出そうと毎日やってくれているから。水曜日の夜、我々は足りなかったし、届かなかった。我々が望んだものを掴めなかったから、当然痛みがあって残念です。ただ、フットボールには、この痛みがある。重要なのは、この達成できなくて体に残った痛みを糧に、ここからもっと強くなること。それが我々にできることです」

 

 気持ちを切り換え、リーグ再開初戦となる6日の敵地・セレッソ大阪戦へと照準を合わせる。言い訳ではなく、前だけを見据えた。

 

text by Kohei Baba

photo by Kenichi Arai

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