「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

選手の良さを生かそうとするあまり、栃木の良さが消えてしまった。【J2第24節 SC相模原戦レビュー】(21.8.10)

2021明治安田生命J2リーグ第24節

2021年8月9日17時キックオフ 相模原ギオンスタジアム

入場者数 2,468人

SC相模原 0-0 栃木SC

(前半0-0、後半0-0)
得点者:

天候 晴れ
気温 29.3℃
湿度 63%
ピッチ 良

<スターティングメンバー>

GK 50 オビ パウエル オビンナ
DF 33 黒﨑 隼人
DF 5 柳 育崇
DF 20 三國 ケネディエブス
MF 16 菊池 大介
MF 25 佐藤 祥
MF 41 松本 凪生
MF 10 森 俊貴
FW 29 矢野 貴章
FW 31 豊田 陽平
FW 44 谷内田 哲平
控えメンバー
GK 1 川田 修平
DF 22 小野寺 健也
MF 13 松岡 瑠夢
MF 14 西谷 優希
MF 37 上田 康太
FW 19 大島 康樹
FW 32 畑 潤基

57分 谷内田→畑
72分 森→松岡
72分 菊池→大島
84分 松本→西谷

 

▼前線守備の“改悪”

心配していたことが完全に悪い方に出てしまった。

新加入の豊田と谷内田が2トップを組んだがプレスのスイッチが入らなかった。

否、チームとしてプレスのスイッチの入れ方を変えたのだという。

試合前のDAZNのフラッシュインタビューで田坂監督が、攻守においてアレンジを加えている、と話していたので身を乗り出すようにピッチを眺めた。中断期間中の3週間にどんな準備をして迎えたのだろうと楽しみだった。

 

ところが――蓋を開けてみるとこうだった。

豊田と谷内田は相手ボランチ2枚をマンツー気味に張り付き、相手の最終ライン3枚には矢野と森の両サイドハーフがプレスをかけてスイッチを入れる。図にするとこんな感じだ。

 

 

中央陥没型プレスーー。こんな守備の仕方は見たことがない。田坂式の奇策の一つだろうが、結果としてほぼうまくいかなかった。

いや、序盤はうまくいっていた。

相手の中央のCB白井にボールが入ったときは、どうしたって両サイドハーフの矢野や森のプレスは届かない(それでもCB→CBと二度追いする場面もあったが散発的だった。当然だろう。無理がある)。だから、状況を判断し、タイミングよく豊田がCB白井にプレスに行けていたシーンは、相手が苦し紛れに縦パスを入れたところを後方がインターセプトし、攻撃回に繋げることができていた。

それでも6分、8分には、少し余裕ができたCB白井からすかさず対角へのフィードや鋭い縦パスが出てきており、その度にピンチになりかけていた。

パスの出し手のCB白井はフリーなのだから狙い済ませるし、受け手もタイミングを図って受けることができるのだから、栃木の後ろはバチン!とタイトにぶつかる対応ができずに苦しくなるのは当然だ。

 

そして、前半の飲水タイムが明けると一方的な相模原のペースとなった。

(残り 3980文字/全文: 5114文字)

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