「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料記事】【レポート】ウーヴァが5連覇 栃木SCを破り、県代表で本大会へ。栃木トヨタカップ天皇杯栃木県予選 第22回栃木県サッカー選手権大会決勝

(文・写真 永島一顕)

 

狙い通りの形から先制し、逃切り勝ち

 

22回栃木県サッカー選手権大会は9日、県グリーンスタジアム(グリスタ)で決勝が行われ、栃木ウーヴァFCJFL)が、前半41分のMF福田周平のゴールで奪った1点を守り切って栃木SCJ3)を破り、大会5連覇を達成するとともに、第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会に出場する県代表の座を獲得した。

 

90分間の熱戦は、ウーヴァの勝利を告げる試合終了の笛が鳴り響き幕を閉じた。観客のほとんどは栃木SCファン・サポーターで、グリスタが落胆の色に包まれた中、ウーヴァの選手、チーム関係者は、難敵を倒しての県選手権V5達成の歓喜に沸き、対照的な光景がスタジアムの中で繰り広げられた。

 

天皇杯県代表の座を手にした一戦、ピッチに立っていたウーヴァの選手は、一時も気を緩めることなくプレーした。それは、MF内山俊彦主将の「一人ひとりが最後まで声を掛け合い、集中力を切らさずプレーでき、良い結果につなげられた」との言葉からも知ることができた。

「やってやろう」。キックオフからウーヴァの選手には、栃木SCに挑む気迫が表れていた。その先鋒役を果たしたのは大ベテランのFW若林学。2週前のリーグ戦でけがを負い、決して万全の状態ではない中で先発出場。堺陽二監督が「色んな思いを背負い、魂を込めてプレーしてくれた」と話したように、ピッチ上でチームメートを鼓舞した。

その若林、試合前には「失うものは何もない。格上との公式戦を楽しんでやろう」と皆に声を掛けた。大ベテランの言葉は勇気を与え、「個の能力が高い相手に対してチームとして対応した」(内山主将)と、ひるまず一丸で挑み続けた。先制ゴールのアシストを果たし、古巣への勝利に貢献した若林は「無理して頑張ってよかった」と満足そうな表情を見せ、「高いモチベーションだった」と自身以外は全員20代で10歳以上若いチームメートに賛辞を送った。

 

苦境を乗り越えつつあるウーヴァ

公式戦3連勝でリーグ戦は次節強豪Hondaに挑む

 

県王座をつかんだウーヴァは今季、決して万全とは言えない環境の中でチーム作りを進めてきた。ユニホームに名前の入るスポンサーが付かず、コーチ不在の状態が続き、ふだんの練習の際も堺監督自らが準備を整えるという。試合では、GK安藤淳也がコーチ役を務め、チーム作りに励んできた。

そんな状況下、リーグ戦では開幕から3連敗と苦しいスタート。しかし、昨季のようにズルズル失点を重ねことはなく、試合の最後まで粘り強くプレーできるようにはなってきていた。

栃木SCに勝利した後、堺監督は「攻めても守っても自分たちから果敢に仕掛け、しぶとく食らいつくということを体現できた」と話した。選手らも「前から仕掛けていくことができた」(内山主将)、「自分たちがやりたいことがチームに浸透してきている」(GK花田力)と言葉にし、戦う方向性がチーム一丸でしっかり確立されてきていることをこの日証明して見せた。

 

2週前のリーグ戦で流経大ドラゴンズ龍ヶ崎に50と快勝して今季初勝利、前週の県選手権準決勝では延長後半のアディショナルタイムの決勝ゴールでヴェルフェたかはら那須(関東1部)を退け、この日の勝利で「公式戦3連勝」となったウーヴァ。次週再開のリーグ戦へは「良い流れをなくさずリーグ戦にもつなげないといけない」と花田、また、天皇杯については、「昨年は、格下相手に攻め込みながらPK戦で負けた。同じ過ちを繰り返さず、栃木県の代表として恥ずかしくないようにしっかりプレーしたい」と内山主将とそれぞれ意気込みを明確に示した。

ウーヴァは、リーグ戦では16日に静岡・浜松市のHonda都田サッカー場で4位のHonda FC(13時キックオフ)、天皇杯1回戦では22日にグリスタで山形県代表のFCパラフレンチ米沢(同)と対戦する。

 

◇決勝結果 栃木ウーヴァFC 10(前10、後00)栃木SC

 

◆栃木ウーヴァFCの出場選手

GK㉒花田

DF⑰鳥山 祥之

DF②鵜飼 亮多

DF⑤石堂 圭太

DF④端 駿介

MF⑭岡本

MF⑳松田 康佑→69MF⑪畦地 健太

MF⑧福田 周平→85DF㉖唐木澤 真也

MF⑩内山 俊彦

MF㉗村岡 拓哉

FW㉕若林 学→61FW⑲佐藤 祐輝

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