【無料記事】【コラム】宇都宮白楊ヴォルツ、2季目の挑戦。ラグビー東日本クラブトップリーグ(TCL)
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東日本TCLに本県から唯一参戦するのが宇都宮白楊ヴォルツ
「フットボール」と名のつく競技の一つラグビー。昨年、イギリスで行われたワールドカップ(W杯)では、日本代表が過去2回優勝の南アフリカを撃破、「世紀のジャイアントキリング」を演じて世界を驚かせ、日本中を熱狂させたのは記憶に新しい。そして、3年後の2019年、W杯は日本での開催となり、ラグビーへの注目もどんどん高まってきている。
現在、国内最高峰の舞台はプロ選手が激突するトップリーグ。それに続き大学、高校などのラガーマンも全国各地で激しくぶつかり合い、各カテゴリーでの頂点を目指している。
決して目立つ存在ではないが、社会人を中心に構成されるクラブチームも全国に多数存在、彼らにとって最高の舞台の一つとなるのが東日本トップクラブリーグ(TCL)。その東日本TCLに本県から唯一参戦するのが宇都宮白楊ヴォルツだ。
宇都宮白楊ヴォルツは、創部49年。植木健太郎監督の下、現在、メンバー約40人で構成。東日本TCLには昨季初参戦し、強豪チームを相手にディヴィジョン(Div)2で2勝3敗の4位という成績を残した。
ただ、好機を生かせずに逆襲を食って敗れるなどもろさが露見したゲームもあり、昨季の結果にはまったく満足していない。チームをけん引するスクラムハーフの鈴木文善主将は「相手の力を見極められず、試合中に(自分たちの)悪いところを修正できないメンタルの弱さを改めて認識させられ、個の部分でついていけない面があった」と、初めて経験したクラブ史上最高のリーグで痛感させられた課題を、厳しい表情で振り返る。
それぞれがそれぞれの職場で仕事する傍らで行う練習は、メンバーがそろう時間も限られ、決して恵まれた環境ではない。その中でヴォルツのメンバーは、個々人が明確な目標を持って日々トレーニングを重ね、それぞれがスキルアップ。チームとしては、週末の合同練習、遠征してのトレーニングマッチなどを通じて、試合中に15人のプレーにゆがみが起きないように戦術を浸透させ、ハンドリングミスなど細かいミスの解消に努めながらチーム力の向上を図ってきた。
今季、Div2は5チームずつ2ブロックに分かれ、ヴォルツはBブロックで戦う。そのチームは、「フォワード(FW)が強い」と周囲から評価を得た昨季から一変、バックス(BK)陣に磨きがかかったものへと変貌。植木監督も「BKを10段階で評価すると、昨季を3とすれば今季は8」と高評価を与える。
新しい戦力の加入などでチーム内が活性化、各選手がしのぎを削ってトレーニングしてきたことが何よりも大きいが、そこに元高校日本代表候補選手の加入が決まったことで展開力に一層磨きがかけられ、トライ量産の期待も膨らむ。
一方、昨季はチームの軸となったFW陣は、「第1列のプロップが課題。セットスクラムで如何に頑張れるか」(植木監督)と不安を抱える。ケガなどもありFWの選手層に手薄感は否めず、ポジションの入れ替えでカバーせざるを得ない状況も予想される。それでも、ケガから順調な回復を見せる選手もおり、主力が第1列に顔をそろえれば、昨季に迫る活躍してくれるだろう。
新たな戦いに向けて植木監督、鈴木主将は、ともに十分な手ごたえを感じており、「ブロックで優勝し、ディヴィジョン1昇格」を目標に掲げる。
2季目の東日本TCLに臨むヴォルツ。彼らは、単にその舞台で好成績を収めるだけではなく、「栃木のラグビーを発展させよう」との思いも抱いてグラウンドに立つ。
栃木県のラグビー人口は、他の都県などと比較して多いとは言えない。高校のチームに目を向けても単独でチーム編成できる数は限られ、クラブチームも衰退の一途と言っても過言ではない。
その状況下で東日本TCLに挑むことには大きな意義があり、鈴木主将は「栃木県のラグビーの活性化には自分たちが頑張ることが大事。そして、地域貢献として、地元の高校生たちがラグビーを続けられる環境づくりにもつなげられればと考えている」としっかりと言葉にする。ヴォルツの選手たちからも「自分たちは県の代表」との思いが伝わってくる。
現在、本県のラグビー界は、以前と比較して活気があるとは言えない。それだけに、東日本TCLに参戦するヴォルツには大いに注目したいし、クラブチームにとって輝かしい一つの舞台で、存分に暴れてくれることを期待したい。
チーム開幕戦は18日、茨城・つくばイワサキに湘南フジクラブを迎えて行われる。キックオフは午後2時。
(文・写真 永島一顕)
■宇都宮白楊ヴォルツの試合日程
・第1節 9月18日(日)14:00
vs 翔南フジクラブ(茨城・つくばイワサキ)
・第2節 10月16日(日)14:00
vs 新潟アイビス(佐野市運動公園陸上競技場)
・第3節 10月30日(日)13:00
vs 桐生ラガーズ(群馬・桐生市運動公園ユーユー広場)
・第4節 12月4日(日)14:00
vsハーキュリーズ(東京・東京ガス大森グラウンド)
・順位決定戦 12月11日(日)
※順位により異なるため詳細未定
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