「栃木フットボールマガジン」鈴木康浩

【無料記事】【レポート】栃木ウーヴァ 第96回天皇杯一回戦、ウーヴァ初戦で姿を消す。

山梨学院大オリオンズにPK戦で敗れる

 

第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会は27日開幕した。栃木県代表の栃木ウーヴァFCは、県グリーンスタジアムで山梨学院大オリオンズ(山梨県代表)と対戦、延長を終わって1-1と決着がつかず、勝敗の持ち込まれたPK戦を3-4で落とし、初戦で姿を消した。

前半4、後半14、延長の前半2、後半4、ウーヴァが放ったシュートは26本に及んだ。しかし、ゴールネットを揺らしたのはたった1本。この決定力の欠如が、思わぬ結果を招いた。

相手の山梨学院大は、試合開始早々にDF前潟将吾が負傷、選手交代を余儀なくされた。ケガを負った前潟は、救急車に乗り込むために担架で運ばれる際、ピッチに立つ仲間に向かって「絶対勝ってくれ」と必死に声を張り上げグラウンドを後にした。

試合の終盤、同大の選手は、足をつる選手が続出。明らかに体力の限界を迎えていた。しかし、「ハーフタイムには『前潟のために勝とう』と声を掛けあっていた」(武井雅之監督)選手たちは、体力の限界をメンタルでカバー、最後まで必死にボールに食らいつくプレーを見せた。

そんな相手に対し、ウーヴァは90分では得点できず、延長の開始早々にゴール前の混戦からDF阿部琢久哉主将が押し込んでようやく先制点をゲット。ところが、延長前半のロスタイムにPKを許し、同点とされてしまう。

試合は、ウーヴァが決めるべきところで決められなかったことでもつれた。延長までの120分間、山梨学院大のシュートを防ぎ、好守備を見せていたGK花田力の奮闘も空しく、勝敗を決するPK戦を落とし、ウーヴァにとってあってはいけない結果を導いてしまった。

 

栃木ウーヴァFC・堺陽二監督 タフなゲームになることは予想していたが、敗者の弁を述べる状況になるのは受け入れ難い気持ち。延長、PK戦までを考えて厳しくいこうと考えていたが、決めるべきところで決められなかったことが大きな敗因。選手たちは、すきを見せることなく気迫を持ってプレーしてくれたが、結果を引き出せなかったのは自分の力不足。PK戦では相手から「何か起こせ」の気持ちが伝わってきた。サッカー怖さ、楽しさを再確認する試合だった。J1のチームに挑戦することができず、大きなものを失った失望感がある。今日のはかなさ、あっけなさをしっかり受け止め、残りのリーグ戦では「しっかりやり切った」と思えるようにやっていく。

 

山梨学院大オリオンズ・武井雅之監督 ウーヴァの個人能力の高さから動かされたが、選手が必死に戦ってくれた。チャレンジャーの思いでJFLのチームに対しい「悔いの残らないように戦おう」と忠実に思い切って試合に臨んでくれた。負傷した前潟は、プレーに対して妥協しない選手で、(ピッチで戦った選手には)彼の分もしっかりやろうと良い影響を与えたかもしれない。

 

栃木ウーヴァFC(栃木県代表)1-1(前0-0、後0-0、延前1-1、延後0-0、PK3-4) 山梨学院大オリオンズ(山梨県代表)

〔得点者〕

92分(栃)阿部琢久哉

105+2分(山)永野博之=PK

 

◆栃木ウーヴァFC

GK㉒花田 力

DF㉚阿部 琢久哉

DF㉝鈴木 翼

DF⑭岡本 洵

DF⑬石堂 圭太→延長開始DF⑯今井 裕基

MF㉛畦地 健太

MF⑳松田 悠佑

MF㉖鈴木 健児

MF⑩内山 俊彦

FW㉘宮下 周保→延長開始FW⑰小山 大貴

FW㉗平井 晋太郎→101分FW⑲松野 大輝

(文・写真 永島一顕)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ