「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【トピックス】『目指すは女王奪還』日テレ・東京ヴェルディベレーザの新たなる戦いがスタート(22.8.4)

キャプテンに就任した村松智子がチームを牽引する。

キャプテンに就任した村松智子がチームを牽引する。

■アメリカ遠征は腕試しの場ではない

女王奪還を目標に掲げる、日テレ・東京ヴェルディベレーザの新たなる戦いが始まった。

WEリーグ初年度となった昨季は3位。皇后杯はベスト8で散り、リーグカップは中止。2013シーズン以来、8年ぶりの無冠に終わっている。

2022-23シーズンのスタートは、14日からアメリカのルイビルで開催される『The Women’s Cup 2022』だ。

3日に行われた新体制発表会見で、新キャプテンに村松智子が就任すると発表された。就任2年目の竹本一彦監督は言う。

「センターバックという中心となるポジションで、チームの重責を担ってほしい。上から数えて3番目という年齢はチームを引っ張っていくのに充分。その上にいる岩清水(梓)選手、宇津木(瑠美)選手にはサポートしてほしいという考えです。チームに新しい刺激を与え、メニーナ育ちのたたき上げ選手ならではの経験、明るい性格で上と下をつないでくれる役割にも期待しています」

村松にとってキャプテンの任命はまったくの予想外だったという。

「竹本監督から言われたときは驚きました。これまでキャプテンの経験はなく、中3のときの大会で一時的に腕章を巻いただけだったので。(昨年まで主将を務めた清水)梨紗が築いたいいところを継承しつつ、自分の色を出して明るいチームをつくっていけたらと思います」

現在27歳の村松だが、高1でトップに昇格した早咲きの才能とあって早くも12年目のシーズン。栄光の日々だけではなく、故障での長期離脱を複数回経験し、苦難もまた人一倍味わっている。むしろ、思うようにプレーできないもどかしさを感じる時間のほうが圧倒的に長かっただろう。

2020年の夏、故障から3年ぶりに復帰し、昨季はWEリ-グ全試合でスタメン出場。ようやく持てる力をコンスタントに発揮できる態勢が整ったところだ。3位に終わった昨季を振り返り、村松はこう語った。

「若い選手が多いので勢いはあって、成長の伸びしろも大きい。うまくいっているときはそれがポジティブに作用します。問題はうまくいかなくなったときですね。昨シーズンは勝っているときに見えなかったものが負けたときに浮き彫りとなって、どうすれば悪い流れから脱せられるのか、難しい状況になる時間が長かったように感じます。若い子たちがのびのびと好きなようにプレーできるように、自分たちの世代が引っ張っていかなければいけないと痛感しました」

トレーニングを組み立て、実質的にチームづくりを主導していく永田雅人ヘッドコーチは言う。

「メンバーの移り変わりをはじめ、さまざまな変化があって自分たちの形を見出すまでやや時間がかかってしまった。最終節のあたりで目指してきたものが60~70分できるようになった感触でしたね。新しいメンバーが加わった今季、その時間をさらに伸ばし、パワーを上げていこうと考えています。データ的な面では、パス本数やペナルティエリアに侵入する回数、相手の陣地でボールを取り返す回数など、重視する攻撃の数値はすべてリーグ1位。礎となるものはできた手応えがありますので、それを結果に結びつけていきたい。アメリカ遠征については、サイズやフィジカルの違う相手とのゲームを実体験できる貴重な舞台。ただし、もともとベレーザのサッカーは世界基準で取り組んできましたから、通用するかどうかを試す大会にするつもりはありません。今季、自分たちがより主体性を持ってサッカーができるように、リーグ戦の開幕につながるスタートにしたいとイメージしています」

2022-23 WEリーグカップの初戦は8月27日、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦。WEリーグの開幕は10月22、23日に予定されている。東京NBが復権を期すシーズンに期待は高まる。

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ