「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【無料記事】【トピックス】特集『新マスコット リヴェルン誕生秘話』前編(20.8.10)

我が家のヴェルディ君。2007年、妻が軽はずみに購入した。

我が家のヴェルディ君。2007年、妻が購入した。

■周りから怒られないだろうかと

ちょぼさんは言う。

「率直に、うれしかったです。最初は、またまた岩野さんがふざけて言っているんでしょ、と本気にしませんでした。だって、あの東京ヴェルディですよ! 私たちの年代の人間にとっては、一番格の高いクラブ。すでにヴェルディ君という立派なマスコットさんがいるわけじゃないですか。ヴェルディと言えば、ヴェルディ君です」

言っちゃなんだが、ヴェルディ君に対してここまで熱量のこもった言葉は誰からも聞いたことがない。いるのが当たり前になっていて、いまさらながら感謝の気持ちを欠きすぎた気もする。

「これまでサポーターの皆さんからどれほど愛され、多くのものを積み上げてきたか。そこに新しいマスコットが入るなんて、想像もできませんでした。光栄な話でしたが、そんなことをして周りから怒られないのだろうかと」

このくどいほどのリスペクトはどうだ。ちょぼさんのご家族が読売グループ系の仕事をしていた関係で、昔から家にはタオルやぬいぐるみなどのヴェルディグッズがあり、慣れ親しんできたという。

「岩野さんにやらせてくださいとお返事したものの、本当に大丈夫なのか、一生、人から後ろ指をさされてもおかしくないぞとビビりながらの仕事です。胃が痛くなるほどのプレッシャーを感じました」

創作の世界に生きる人ならではのためらいである。クリエイターの節義と言い換えてもいい。

そうして東京Vの新マスコットプロジェクトは、実現に向けて加速していった。

 

後編は8月21日に掲載の予定です。

 

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