「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【フットボール・ブレス・ユー】第3回 藍より青く ~FC町田ゼルビア 畠中槙之輔~(2016/03/30)

第3回 藍より青く ~FC町田ゼルビア 畠中槙之輔~

FC町田ゼルビアの練習場、小野路グラウンドは小さな丘の上にある。坂の途中にある桜は、まだ一分咲きといったところ。寒い冬を経て、つぼみがほころび、いよいよ花を咲かせようとしているところだ。プロ3年目の今季、町田にレンタル移籍した畠中槙之輔を訪ねた。

3月26日、東京ヴェルディと町田による『東京クラシック』は、町田に軍配が上がった。その試合、畠中は契約の関係で出場できなかった。町田のオフィシャルサイトは、3月23日付けのニュースで畠中のコメントを伝えている。以下、同サイトからの引用だ。

「正直な気持ちを言うと、試合に出たいですね。でもこれは、シーズン前から決まっていたことなので、今週はチームのサポートに積極的に取り組んでいきたいと思います。気持ちは切り替わっています。今年はゼルビアにすべてを捧げる気持ちできているので、そこは古巣というのは関係なく気持ちはゼルビアにあります。ゼルビアの勝利に貢献したいと思います」

契約上の身分がどうあれ、現在所属するチームにすべてを傾注する。正しい姿勢だ。だからといって、古巣への愛着をきれいさっぱり失ったかというと、それはまた別の話だろう。僕はその類のことを訊くつもりはなく、読者はちょっぴりさみしい思いをするかもしれないが、そこはわかってほしい。

FC町田ゼルビアでレギュラーを張る畠中槙之輔。 ©FC町田ゼルビア

町田でレギュラーを張る畠中槙之輔。 ©FC町田ゼルビア

畠中は開幕からレギュラーの座を掴み、4試合連続フル出場した。これまでと異なる環境に適応し、実力を認められるには大変な努力があったに違いない。練習を終え、グラウンドから引き上げてきた畠中に、まずは移籍の経緯について訊ねた。

「移籍したのは僕の希望です。昨年のシーズンが終了した時点で、いまのままではヴェルディで試合に出られない、力が足りないと率直に感じました。そこで、誰も自分のことを知らない環境でチャレンジしようと。本当は地元からも離れ、もっと遠くに行くつもりだったんですよ。右も左もわからない初めての土地に行き、初めての人と会い、どれだけ自分のことがわかってもらえるか挑戦したかった。すぐ近所の町田からオファーをいただき、プレーすることになったんですが、結果的にはとてもいい選択だったと思います」

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